魔術の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
魔術の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) / 感想・レビュー
W-G
人物の印象のひっくり返し方や、犯人の設定など、数々の名作をものにしてきたクリスティの黄金パターン系譜に含まれる作品。しかし『ナイルに死す』の情緒や『白昼の悪魔』にあった抜群の切れ味がなく、マープルのシリーズとしても、先に刊行されている『書斎の死体』に完成度で見劣りしてしまい、やや凡庸な印象に落ち着いた一冊。決して駄作ではなく、マープルが出づっぱりでファンとしては嬉しい面もあり、活かせなかった舞台設定がもう少し機能してくれれば、評価は違っていたかも。クリスティの作品群でも、本当にちょうど真ん中あたりの評価。
2024/02/01
Kircheis
★★☆☆☆ マープル物の一つ。 かなり地味な作品で、マープルもあまり目立たない。 トリックがチープですぐ犯人が分かってしまった上、動機もキャリイ・ルイズが狙われた真相もすぐに分かる(あからさまな誘導もある)。 また登場人物もあまり魅力的に感じる人はおらず、マープル物の中ではハズレの方かなと感じた。 最後にウォルターとジーナをシェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』の登場人物に重ねていたが、両方とも全然違うやろーと突っ込んでしまった。
2019/01/27
セウテス
ミス・マープルシリーズ第5弾。魔術ではなく手品師で言う奇術、という意味の方が正解だろう。 寄宿学校時代からの友人ルースに頼まれて、ミス・マープルは彼女の妹キャリイの元に赴く。そこはキャリイの夫が運営する、少年犯罪者更正施設と繋がった屋敷であった。クリスティ作品には珍しく、最初からミステリの為の舞台が用意されている。よって犯罪が起こる不穏な気配にゾクゾクするし、そのトリックは小ぢんまりとしてはいるものの、奇術の如く切れ味は良い。ただ残念なのは、ポアロシリーズ等先に読んだ読者には、あのトリックかと気づく事だ。
2018/11/06
Tanaka9999
登場人物のほとんどが家族。世代も多く養子とかで混乱。最後まで誰が誰だが把握できていなかった模様。途中ではわかったつもりになって読んでしまったのだが。一応トリックとしてはよくあるパターンなのかもしれない。思い返せば犯人ってあやしい言動している。でも途中では気が付けない。
2019/01/11
みっぴー
これは面白かったです。三度結婚した女性の家に集う親戚一同。彼女の実子、養子の子供をはじめ、二度目の旦那の子供達、養子の子供の旦那……血縁関係を頭に入れるのが大変でしたが、一度覚えてしまえばこっちのもの。家族達の思惑や愛憎が複雑に絡み合う中毒性の高い人間ドラマは極上のエンターテイメント。もちろんミステリなので殺人は起きますが、そちらのトリックは少々軽めに感じました。密室で起きた殺人未遂。しかしほぼ同時刻に別の場所で本当の殺人が…犯人や動機に意外性がないのが残念でした。
2016/05/23
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