七つの時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
七つの時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) / 感想・レビュー
ゆのん
『チムニーズ館の秘密』の続編。と言っても舞台と登場人物の一部が同じだけで物語自体は独立している。執筆された当時はクリスティは色々と大変な時期であった為か本作品はすこぶる評判が悪い。それでも本作品のヒロイン・バンドルはとても好感が持てて私は結構好きな作品だ。そして忘れてはいけないのがバンドルの父親であるケイタラム卿のお茶目さ。クリスティ作品の中では決して傑作とは言えないが、もし読む機会があるならば、どんな天才作家であっても不調な時はあると優しく広い心で読んで欲しい。
2021/03/19
NAO
クリスティの作品は人物関係や事件の背景にどちらかというと暗く重厚な印象を受けるが、この作品は初期のものということもあってか、かなり軽め。若い青年男女の冒険譚という感じに仕上がっている。何やら怪しげな秘密結社の真の目的にはちょっとびっくりだったが、犯人の共犯者にはそれ以上に驚かされた。
2019/07/20
たか
秘密結社、新発明の秘密書類、泥棒紳士など、お決まりの伝統的な冒険ミステリ。 しかし、定番のミステリをありふれたストーリーにしていないのはさすがクリスティ。 テンポのよい展開、ユーモアのセンス、生き生きした女主人公バンドルと忠実な愛すべきビルの恋愛など、魅力溢れる要素が散りばめられている。 最後にセブン・ダイヤルズ・クラブのナンバー7の正体には驚かされた。C評価
2019/07/14
Kircheis
★★★★☆ 大好きな「チムニーズ館の秘密」の続編に当たる作品。 アンソニー・ケイドとヴァージニア・レヴェルがいない分前作に負けてるけど、バンドルが頑張って十分盛り上げてくれてる。バトル警視も良い。 ビル・エヴァスレーは前作ではレヴェル夫人に恋してたはずなのに、急にバンドル好きって言われても応援したくないなぁ。 最後どんでん返しはあるものの、本作はミステリー要素少なめ。ただ、ストーリーを楽しむ。それだけで良い。
2018/11/02
みつ
40年以上を経ての再読。当時夢中で読みひたすら幸福な気分で読み終えたことを思い出す。『チムニーズ荘の秘密』の続編ともいうべきもので、寝起きの悪い友人のために目覚まし時計を並べる始まりから一挙に謎の犯罪現場に展開させる手腕はやはり非凡。前作では今ひとつ存在感のなかったバンドルがこちらでは魅力全開。どんどん事件の渦中に入りこみ、危ない目にも何度か遭う。この種の女性描写は女史の独擅場。ロマンスとの融合も見事で、秘密機関の正体が明らかになる大どんでん返しが父ケイタラム卿との楽しいやりとりに続きめでたく結びとなる。
2023/12/14
感想・レビューをもっと見る