愛の旋律 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
愛の旋律 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) / 感想・レビュー
優希
クリスティー作品ですが、ミステリーではありませんでした。音楽家の愛と苦悩の物語。美しい調べが小説という形で昇華されたのだと思います。ミステリーではないクリスティーなんてと思いつつも物語に引き込まれてしまいました。
2023/11/06
yumiha
メアリ・ウェストマコットで出版された本書は、もちろんミステリーではない。好みではないタイトル(原題Giant's Breadを手垢にまみれた訳にしてほしくなかった)と653ページの分厚さになかなか食指が動かなかったが、『リスタデール卿の謎』の安易な恋愛短編よりは、読み応えがあった。また、毅然としたナース・フランシス、素振りには見せないけれどヴァーノンを心底愛したジェーン、不器用だけど自分を貫いたジニーなど、私にとって魅力的な登場人物にも出会えた。
2022/12/29
geshi
後に天才音楽家と称されるヴァーノンを軸としつつ、周囲の人々の心理描写もしっかりしていて、愛のテーマを追い求めるロマンス叙情小説。全てを厭わぬ愛も、穏やかに包まれる愛も、本音をさらけ出してしまう愛もあって、そんな愛の形の違いが登場人物を通してすれ違い・ぶつかり合う。言葉の裏側を思わせる会話がやはり巧み。誰もが愛を手に入れているはずなのに誰も幸せになれていない残酷さ。クリスティーの実人生も透けて見えてなかなか感慨深い。ドストエフスキーの名前が出てきて意外な同時代性にびっくりだった。
2020/10/26
花乃雪音
メアリ・ウェストマコット名義の恋愛小説。読んでいると本作の主役と思える人物がヴァーノン、ネル、ジェーンと変わっていった。その結果、ネルとジェーンというミューズによってヴァーノンの才能が開花する話だと思ったが、最初に戻り読みかえして原題『Giant's Bread』の意味する所がわかるとそれにとどまらないことが理解できた。
2020/12/12
Tanaka9999
訳本は「クリスティー」名義だったので気が付かなったが、ミステリーではなかった。それで、この本がない処があったのか。しかし、意外と引き込まれた。幼馴染どうしの恋愛やすれ違いなどがスピーディに展開するが、ドロドロではない。音楽の才能とかが絡むからだろうか。なんか感想はうまく書けないが、面白かった。
2020/01/23
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