ねじれた家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
ねじれた家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) / 感想・レビュー
W-G
評判の良いクリスティ作品の中で読んでいなかった一冊。某超有名作と色々被っていて、どうしても比較対象になってしまう。発表年はこちらの方がだいぶ後のよう。「私も書いてみたい!」と思わされたのだろうか。話し運びは面白くキャラも立っているのに、ミステリとしては種も仕掛けもないものになっており、その辺りでライバル作品に大きく遅れをとる。読者に与えられる犯人指摘の材料が、主人公のお父さんが語る犯人像分析にほぼ頼りきり。ただ、そういう”本格とは?”みたいな堅苦しいことを考えなければ”読める”作品であることも間違いない。
2018/02/23
nobby
確かに家も、そこに住む家族も皆ねじれてる、いやひねくれてるのかな…「“ねじれた”と言ったのは悪い意味じゃなくって、それぞれが、ちょっと曲がったり絡みあったりしてる」とは分かりにくい…そのねじれた家に住む大富豪な老人が毒殺されるが、何しろ家族誰しも裕福で優しくて殺す動機が全くない…個性的で偏屈ではあるけれど(笑)ミステリというより家族間の罵りや悪口を読む感じだが、極めて軽めで鼻につくことなく読める。そんな中で起こる連続殺人の結末だけは後味悪し…マザー・グース童謡殺人の評で手にすると、違和感ばかりだから注意!
2020/10/06
Kircheis
★★★★☆ 「ねじれた家」に住む大富豪の老人が殺され、その孫娘の恋人チャールズが真相を調査するお話。 そのチャールズは有能とまでは言えないものの、人柄が良くつい応援したくなる人物。 犯人の意外性と動機の異常性が衝撃的な作品だが、先に発表されている某有名作品とプロットがほぼ同じという点で評価は下がる。こっちの方が読者に対してフェアなんだけどね。 そういや、ジュゼベルの掌だけ犬が食べなかった理由は結局なんだったんだろう?
2019/01/15
nuit@積読消化中
映画を観る前にと思って読みました。安定のクリスティー、ほぼ一気読み。あー、クリスティーを読んでいる時の幸せといったら。周到かつ綿密にしくまれた上等な謎解きミステリーです。鈍い私は、犯人が最後の最後まで分からなかったけど、明かされた瞬間、なるほど!これ、本文中にこれでもかとクリスティーもヒントを散りばめてるではないか!しかし、巻末の末國氏の解説での人物紹介が明らかに間違ったまま版を重ねているのはなぜなんでしょう…(泣)。
2020/03/18
藤月はな(灯れ松明の火)
徹底した合理主義と阿漕な手段で成り上がってきた老人が死んだ。しかし、彼の死に疑念が浮上した時、更なる事件が起きる。ポイントは、亡くなったレオニダス氏が家族には惜しみもなく、愛情を注ぐがその加減も一番、欲しているのは誰かという読み方も知らなかったという事です。その点が亡くなった老人を憎めない者としつつも、甘やかされた為に自分勝手になるしかなかった家族に哀れさを与えている点は巧みだなと思います。真相や筋立ては某作品とそっくりですが中々、エグい結末です。そしてある人物は最後まで真実を見通していたんですね・・・。
2019/02/25
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