レイモンド・チャンドラー語る 改装版
レイモンド・チャンドラー語る 改装版 / 感想・レビュー
こうすけ
レイモンド・チャンドラーの書簡集。自作について語っていたり、推理小説について語っていたり、ハリウッドについて語っていたり。遺作となった未完のマーロウものが掲載されているのもうれしい。マーロウも結婚するはずだったのか。愛猫タキについての文章がめちゃくちゃ良くて、谷崎が描く愛くるしい猫とはまた違う、暴君としての猫の魅力が描かれている。猫エッセイ書いてほしかった。手紙を読むかぎり、天の邪鬼でわりと面倒くさそうな人だけど、死別した妻シシーへの深い愛情が感じられる。急いで訳したためか、誤字脱字が多いのは仕方ない。
2022/10/28
ふみふみ
チャンドラーの書簡集に普通小説の短編「二人の作家」と未完の「プードル・スプリングス物語」を収録。書簡集の方は小説についての部分だけを拾い読み、「かわいい女」「長いお別れ」「プレイバック」執筆の状況や、題名「長いお別れ」より「アイドルヴァレーの夏」を望んでいたとか、「プレイバック」の最後に次作の布石を打った話とか興味深い内容、ネタの数々でした。そして「プードル・スプリング物語」。たったの4章で終わりですが、これが清水訳で読めただけでもありがたかったですね。
2022/12/18
西村章
チャンドラーが、友人やエージェント、版元関係者に宛てた書簡集。彼のミステリに対する考えかたや、自作への自己評価、創作姿勢、あるいは日々の生活などについて直截に知ることができる非常に貴重な一次史料で、歿後それほど時間が経たないうちに私信がこのような形で書籍化されている事実が、チャンドラーという小説家の人気と存在感の大きさをよくものがたっている。「ねこについて」の章が、微笑ましくてじつによい。
2017/02/18
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