ヒッチコック: 映画と生涯 (下)
ヒッチコック: 映画と生涯 (下) / 感想・レビュー
印度 洋一郎
下巻は1950年の「見知らぬ乗客」から亡くなるまで。50年代に傑作を連発したヒッチコックだが、60年代前半の「サイコ」や「鳥」を境に停滞期に入っていく。その理由の一つは、50年代からティッピ・ヘドレンら若手女優への脅迫的なセクハラが影を落としていた。元々他人を信用せず、女性への内なる支配欲を映画界での影響力の増大と共に抑えきれなくなっていた事の帰結だった。その悪癖は最晩年まで変わらかったらしい。この本によると、映画人としてのヒッチコックは技巧の人であり、その才能は最期まで変わらなかっただけに複雑だ。
2021/08/25
pudonsha
ヴェラ・マイルズ、キム・ノヴァク、ティッピ・へドレンなどの女優たちは、ヒッチコックにかなり酷い目に遭っている。特に、ヘドレンは性的関係を求められて拒否すると、脅迫を受け、その後彼女の女優としてのキャリアは絶たれた。ただし、ヒッチコックの性格異常ぶりこそが彼の想像力の源泉であり、そのおかげで歴史に残る名作を生み出すことができたとも言える。また、ゲーリー・クーパーやジェームズ・ステュアートらの作品で成功を収めてきたが、これまで築いてきた作風とは異なる新しいものにチャレンジした結果、『サイコ』が生まれた。
2013/11/25
Gen Kato
再読。ティッピ・ヘドレンがとにかく気の毒… 映画は素晴らしいんだけどねえ、としか。
2014/07/14
coolmonster
ヒッチコックの全盛期、そして狂気とも言える女優たちへの執着、レイプへの憧れはどんどん高まり、彼の名誉と共に酒の量も高まっていく。原題が、The dark side of genious The life of Alfred Hitchcockである通り、彼の偉業だけではなく、人間的に尊敬できない側面も余すところなく描写している。
2014/06/29
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