シンプルな情熱 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
シンプルな情熱 (ハヤカワ・ノヴェルズ) / 感想・レビュー
アキ
再読。2022年ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーの自伝的小説。「嫉妬」「事件」と同様、あくまで女性目線から妻帯者の男との情事にのめり込む心情を、飾らずストレートに書き記す。20年前に堕胎をしたパリの小路を再び訪れた。自分に起こったこの2年間の濃密な時間の流れが過ぎ去った痛みを和らげるために、過去に関係した男を思い出した。passionは情熱と同時に受難でもある。彼女にとって書くという行為は、記憶の中の出来事に道徳的な判断を下す前に、自分という存在に不安と驚愕を見出すことなのであろう。
2023/01/11
harass
「読書という荒野」で紹介されていた恋愛小説。東欧の既婚男性に恋に落ち、彼のことばかり始終考えている仏人女教師の一人称小説。100ページほどの中編。彼に関係すると思われるもの以外は惰性でしかなかった。しかしここまで赤裸々に率直に表現することは確かに驚きだ。女性でこれを書くことの衝撃がわかる。あとがきにあるが、著者の五作目の小説がこれで、作風が他のと全く違い、自身の自伝的体験を描いているらしい。文庫版のプレミア価格に驚く。一読を薦める。
2018/07/09
美紀ちゃん
アニー・エルノーさんがノーベル文学賞を受賞したので、読んでみた。 脳みそがピンク色に染まってしまいそうなくらい、パッションだった。 気持ちが一直線。シンプル。 大人向けなので、 中学校には置けない本ということを確認。
2022/11/16
こばまり
近頃の映画版を観て、原作こんなだったかしらと確認再読。その巧みな映像化に改めて感心した次第。絵本等、子どもの頃に読んだものは初読の衝撃を超えないが、成人後に読み散らかした本の再読は初読時よりも理解が深まるように感じる。だといいが。
2022/09/24
ネギっ子gen
【贅沢とは、今の私には、ひとりの男、またはひとりの女への激しい恋(パッション)を生きることができる、ということでもあるように思える】年下男性との愛の体験を赤裸々に綴り衝撃を呼んだベストセラー小説。原書は1992年刊。翌年には訳本刊行。巻末の、詳細な「訳者あとがき」は本書読解の手助けに。<あの非現実的で、ほとんど無に等しかったあの夜のことこそが、自分の情熱の意味をまるごと明示してくれる。いわゆる意味がないという意味、2年間にわたって、この上なく激しく、しかもこの上なく不可解な現実であったという意味を>と。⇒
2024/11/13
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