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アクシデンタル・ツーリスト (ハヤカワ・ノヴェルズ)

アクシデンタル・ツーリスト (ハヤカワ・ノヴェルズ)

アクシデンタル・ツーリスト (ハヤカワ・ノヴェルズ)

作家
アン タイラー
田口俊樹
出版社
早川書房
発売日
1989-04-01
ISBN
9784152076588
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アクシデンタル・ツーリスト (ハヤカワ・ノヴェルズ) / 感想・レビュー

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ケイ

彼がもつ喪失への苦しさが段々と迫ってくる。やはり息子のことを語るシーンはどこも胸を傷めずには読めない。彼の家族は祖父母も兄弟も、そしてご近所まで含めてみんな愛すべき人達だ。彼らの関係も本当に好きだ。愛しい事が溢れる小説だからこそ、作者の出す毒や悪意に当てられた気がして、読後はザワザワした。兄弟たちの母親の不在、息子の死で夫に八つ当たりする妻、息子をアレルギーだと始終言う母、娘のふしだらさをその彼氏の前でひけらかす母親。私自身が母親であるせいか、そこをすごく感じて悲しくなった。

2017/02/26

まふ

20年間も一緒に暮らした夫婦が性格の不一致で別居生活に入る。妻に逃げられた亭主は「アクシデンタル・ツーリスト」(やむを得ず出掛ける旅行者)向けの旅行案内書のライター。その彼に動物訓練士のミュリエルが近づき二人は同棲する。メイコンの兄弟姉妹、出版社の編集長などがそれぞれ絡みつき、ドタバタ喜劇的に物語は展開する。人物の関わり、繋がり、問題の発生などについて作者は丁寧に楽しく詳しく記述し的を外さない。最後は「しょうがないか」と思わせるエンディングで充実した読後感とともに終えることができた。G518/1000。

2024/05/24

NAO

アクシデンタル・ツーリストとは、不承不承旅をする人。息子を亡くし妻に去られてからのメイコンは、アクシデンタル・ツーリストそのものだったといえるのではないだろうか。その不承不承の日々の中で、彼は人生そのものをもう一度じっくり考えなければならなくなった。そして、その不承不承の旅には、彼にあれこれ指示してくれるガイドが必要だったのだ。だからこそ、きっと、メイコンは、自分の息子とはまったく違う弱々しいアレクサンダーの優しい保護者になれるだろう。

2021/03/16

りつこ

再読。アンタイラーの中でも特に好きな作品。出てくるのは問題のある人ばかり。だけど読んでいるとたまらなく愛しくなってくる。秩序を愛し変化を嫌うメイコン。息子をなくした悲しみを何事もなかったかのように毎日を送ることで取り繕おうとする。妻のサラはそんなメイコンに愛想をつかし家を出る。ボロボロのメイコンに近づいてきたのはヘンテコリンな若い女ミュリエル。パーパーうるさいミュリエルだけど彼女の闘志と感性に惹かれる。宇宙人が救急車を見たら…の台詞には今回も泣いてしまった。人生は旅。メイコンはいい道連れを見つけたのだ。

2018/07/20

ヘラジカ

読書の旅をしていて出会ったオアシス!と言えるほど最高の一冊。読み終わってから絶賛している書評を見直していちいち首肯してしまうくらいに素晴らしい。私も「美しく、熱く、悲しいくらいに感動的」で「思わずひきこまれる」「パーフェクト」な小説だったと断言したい。読みながら何度涙ぐんだことか。中盤あたりは30ページごとくらいに目頭を熱くしていた気がする。何度でも読み直したい一冊だ。最近読んだ本の中ではアニー・プルーの『港湾ニュース』に次いで大好きな作品かもしれない。

2017/02/14

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