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第三の嘘 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

第三の嘘 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

第三の嘘 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

作家
アゴタ・クリストフ
Agota Kristof
堀茂樹
出版社
早川書房
発売日
1992-06-01
ISBN
9784152077493
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第三の嘘 (ハヤカワ・ノヴェルズ) / 感想・レビュー

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mukimi

三部作最終巻。第一部、第二部、第三部と登場人物は同じようでありながら語り手も文脈も構成も全てが変化した。注意しないと気付かない程緩徐に変わった構成もある。そもそも何が真実で誰の言葉が嘘なのかもわからない。これまでの自分の読書は一作品の中で一物語が完結するものばかりだったけど、実際のところは、小説というのは一人の人間(筆者)の描きたいことが描きたいように書かれたもので、まるで早朝に見る浅い夢みたいに自分も周囲の人も景色も刻々と移ろいで一定しないものになっても全然おかしくないものだったのだ。新しい不思議体験。

2022/05/31

文庫フリーク@灯れ松明の火

読了、寂寥感ばかりが極まる。『ふたりの証拠』から続くようなプロローグ。なのに『悪童日記』『ふたりの証拠』との違和感ばかりが募り、何が真実で、何が嘘なのか、分からないまま物語の中にのめり込む。『悪童日記』のしたたかな双子の姿は、ここには無い。夫の不倫を許せず、撃った母の銃弾は、父の命だけでなくリュカの脊椎まで傷つけた。リュカはリハビリセンター、母は精神病院へ。独り残されたクラウスは父の愛人に引き取られ、生涯唯一の愛を知る‐許されぬ愛ゆえに、クラウスは生家で訪問看護を受ける、精神を病んだ母との暮らしを→

2014/08/16

nakanaka

双子が実際に存在するかしないか曖昧な終わり方だった前作からの続き。ですがしばらく読み進めると一作目と二作目がまさかの内容だったことが明らかになり衝撃を受けました。一部はリュカ、二部ではクラウスについての内容でしたが次第に明らかになる真相に引き込まれました。アゴタ・クリストフは最初から三部作にするつもりで書いていたのだとは思いますが、読み終えてみてこの構成や物語の内容に改めて凄みを感じました。完結なのに続きがあるような終わり方なのも気になります。本当にこれで完結のつもりだったのなぁ。

2018/11/12

にく

読み終わって深く納得。そういうことだったのか…。『悪童日記』も『ふたりの証拠』も嘘ではないのだな。どんな気持ちで帳面に書きつけたのか、リュカとクラウスを思うとずっしりくる。リュカの帰還のタイミングが違えば、結末も違っただろうかなんて言うのは作者の意図からすると的外れかもしれないけど、思わずにはいられない。

2010/09/26

ひなきち

『悪童日記』第3弾。最初のテイストと、かなり違ってた…!急に現実味を帯びたストーリーになったのは、作者の体験が多くを占めるようになったから?それとも、解説にあるように、これから続編を見越した前提で書かれたから?1巻での、悪魔のような「悪童たち」の活躍を期待してたので、拍子抜けしてしまったが、この「悪童日記3部作」は、文学的、歴史学的、心理学的といった多岐にわたる分野で、解析しながら読むことのできる傑作文学だというのは理解できた。ただ私は、やっぱり「悪童日記」が一番好き。

2017/08/30

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