シャンボールの階段
シャンボールの階段 / 感想・レビュー
ぞしま
素晴らしかった。私が読んだキニャールの内、現代が舞台なのは初めてで、読みやすかった気がする。主にロランスに感情移入しながら。対話、そこに付随する描写に目を奪われた。多様な固有名詞は目を眩ませ、獣性と箴言は溶け合う、目や耳や鼻や手足に忠実な感覚から吐かれる言葉、吐かれない言葉、あるいは"舌の先まで出かかった"言葉…。倫理は埒外に存し、教義や教養や審美眼も同様。ある種の「異様な強度」で彩られた行い、それにより興される感覚と記憶…ついて行くのがやっとなようで、初めから振り落とされているような気もする。
2016/02/06
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