診療室にきた赤ずきん: 物語療法の世界
診療室にきた赤ずきん: 物語療法の世界 / 感想・レビュー
あじ
心を病む理由が分からず、解決への扉を見つけられない。精神病患者は地中深くを迷ってしまった、モグラのような心境でクリニックを訪れます。大平医師は起承転結が明らかになった、誰もが良く知っている童話を取り上げます。より患者のケースに近い童話を、患者に当て嵌め客観的に見つめ直すのです。医師は導く手伝いだけで、答えは患者自らが出します。大量の精神安定剤ではなく、童話でカウンセリングと処方をするのです。20年も前に刊行された本ではありますが真新しさを感じます。実際のケースを取り上げたノンフィクションです。
2013/09/23
kayak-gohan
先日読んだエランベルジェ(フランスの精神科医)の絵本「いろいろずきん」に関連して、大学生の倅が紹介してくれたのが本書。クライエント(来談者)の抱える本当の問題は主訴とは別のところにあって、実はクライエント自身が気づいていないこともままある。 そんなときのセラピストはどのようにして診たて(=援助方針の決定)を行うか?筆者(精神科医)はその有効なツールとして童話や昔話を用いている。童話や昔話に潜むメタファー(暗喩)はクライエント自身やクライエントの抱える問題を映し出す鏡になっていることが少なくない。
2018/03/24
ぷう
読友さんの感想を読んでとても興味をひかれた本。期待に違わず良い本だった。様々な原因の絡まった精神科症例を昔話になぞらえて わかりやすくほぐして説いてくれる為、今まで読んだ精神科のどんな本よりストンと胸に落ちる。「三年ねたろう」は今でいう「引きこもり」のはしりのような話だが、今でも解決策や対処は様々。でもこの本では 飛躍が必要な時にはさなぎの期間、内省期があると教えてくれる。「ねむりひめ」の解釈もとても興味深かった。読んで良かったと思える本です。
2013/10/04
アルゴン
★★★☆ 物語になぞらえたカウンセリング法。薬を与える以外に精神科医がすべきことは、「アドバイスを与える」ではなく「ヒントを与えて気づいてもらう」なのですね。確かに人から教えてもらう場合と、自分で気づく場合とは違います。
2015/04/27
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