怪物: アゴタ・クリストフ戯曲集
怪物: アゴタ・クリストフ戯曲集 / 感想・レビュー
kanki
戯曲集。怪物とは、麻薬みたいなものなのだろうか。
2023/04/24
きゅー
良い意味で驚かされた戯曲集。いずれもアゴタらしく支配、罪、贖罪、救いといったテーマを扱っているが白眉はタイトルにもなっている「怪物」。憎しみによって、人間が怪物へと変容するさまをまざまざとみせつけられて、おぞましい。目的のためには手段を選ばないことへの、痛烈な皮肉を見た。そしてここでは人間を、国家、宗教、政治などといったものに置き換えて読むとまた含みを感じる。ホラー映画にもありそうな設定の「エレベーターの鍵」、SFチックな「道路」と、ジャンルの幅も広くて楽しめた。
2011/11/17
SAT(M)
森の中にぽつんと建つアパートや、地球上が道路で埋め尽くされたディストピア的近未来、といった非現実的な舞台設定の多い作品集です。その幻想性を楽しむこともできますが、その実、寓意的でメッセージ性も強く、「絵解き」をしながら読むこともできます。台詞のやり取りが軽妙なので、一気読み向き。
2015/10/25
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アゴタ・クリストフの妙味を堪能できる短編集。ひとつひとつの物語自体の面白さは勿論、基調となる不気味さの中にもクスっと笑えるユーモアあり、そして、これは何の寓話なのだろうと立ち止まったりする。戯曲のスタイルだが登場人物が少ないため非常に読みやすいし、眼前には舞台やシーンが鮮やかに浮かんでくるような見事な筆致。もう一つの短編集『伝染病』も是非読みたいと思う。
2015/08/30
cozy
戯曲が慣れない部分もあったけれどおおむね楽しめた。「怪物」「ジョンとジョー」が好きかな。
2016/07/26
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