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影が行く 2版 (ハヤカワ・SF・シリーズ 3161)

影が行く 2版 (ハヤカワ・SF・シリーズ 3161)

影が行く 2版 (ハヤカワ・SF・シリーズ 3161)

作家
ジョン・W・キャンベル
矢野徹
川村哲郎
出版社
早川書房
発売日
1995-09-01
ISBN
9784152079435
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影が行く 2版 (ハヤカワ・SF・シリーズ 3161) / 感想・レビュー

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キムチ

文庫化は2000年だが、収録されている作品群は1950年代中心。セピアテイスト。リアルにトワイライトゾーン世代だった私に範囲やら懐かしい。中村氏の解説が筋道立ててその辺を解説してくれている‥2つの大戦を経て冷戦へ向かう大国を中心に仮想敵への恐怖が募って行く。原子力・核兵器・医療の発達(蘇生!)科学技術の発達はSF+ホラー+ミステリーの下地になるに十分だった。標題の「影が行く」が最も秀逸。映画化されたこともあるらしいが「あいつら」という見えざる敵の蠢きは子供のころ観た外国映画を思い出した。

2021/03/13

ニミッツクラス

95年の税込1200円の銀背再版(初版67年)を読んだ。21年ぶりに刊行された銀背3冊のうちの一冊。00年の創元SF文庫の同名のアンソロジーと紛らわしいが、こちらにも当然キャンベルの表題作が含まれている。銀背の方は5編収録。表題作をカーペンターとラッセルのコラボで映画化した「遊星からの物体X」を観た時には心底感心した。このコラボは駄作もあるので、やはりキャンベルの原作が良いのだと言える。人類の終焉を叙事・抒情的に描いた「薄暮」「夜」は胸を打つ。「盲目」は王道のSSネタに肉付けしてある。★★★★★☆

2016/12/10

火曜日

表題作は、誰が宇宙人か突き止めたい人間側の試行錯誤と同じくらい「人間になりたかったが犬になってしまった宇宙人の試行錯誤」が強調されており、地球人にとっても宇宙人にとっても犬がシリアスな問題である。映画(カーペンターのほう)は、この原作における犬の存在感を形を変えて引き継いでいるほか、「ほっとけば犬になってた!」「犬になっても何もできない!」などいくつか印象的な台詞を残している。別作「薄明」でも未来における犬の扱いが描かれており、作者は犬になんつーかオブセッションとかあるのか?

2022/06/27

『遊星よりの物体X』&『遊星からの物体X』の原作となった表題作をはじめ全5編収録の1930年代SF小説中短編集。表題作『影が行く』は擬態エイリアン物+閉鎖空間でのモンスターパニック物の古典といえる逸品であります。『薄暮』『夜』は人類滅亡後の地球の光景を目撃者が証言するタイムトラベル系終末SF。本書の一番の難点は読みづらさ。初版は1960年代なので翻訳の文体が古めかしく、誤植なのだか当時の言葉遣いなのだか。「頭の冠を、水が短絡させた」という表現が出てきて「ショート」のことなのねと気づいてびっくり。星3つ。

2019/04/01

酔花

言わずと知れたホラー映画の原作が表題作『影が行く』名作は何度読んでも名作。他の生物を取り込み擬態する生物に対抗する手段を探る場面は緊迫感に満ちており、思わずのめりこむ。怪物造形やスプラッター描写は映画に一歩譲るが、SFの設定を生かした展開は原作に軍配が上がる。Xファイルでも同様のネタがあったが、そちらも面白かった。氷×擬態ものは良作の方程式。そのほか、『薄暮』と『夜』は好奇心が失せた人類が辿る哀感の黄昏時と終焉が描かれている。科学描写は古びても、このイマジネーションは今でも十分通用する。

2014/01/20

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