感情の法則
感情の法則 / 感想・レビュー
ひじき
書評まじりエッセイ。小説のセリフやシーンから遠い日の記憶へ、あるいは甘酸っぱい青春を振り返った後「こういう本があるのだ」とするりと本の話題へ移行する。語るのは親のこと、青春時代、友情、子育て、死…。多分に感傷的でウェット。それが北上次郎だ。マキャマン『少年時代』を読めば、初めてひとりで留守番したときの小さな体いっぱいに充満した不安と孤独を思い出すのである。老いへの言及も多い。もはや中年の著者は自分がもう若い娘たちの眼中にないことに気づく。「気持ちは楽だけど、なんだか少し、寂しいのである」この正直さも好き。
2016/09/19
Cinejazz
ミステリや冒険小説の信頼できる書評家として名高い著者が《ハヤカワ・ミステリマガジン》に連載されたエッセイ40編が連打されています。翻訳小説を俎上に著者の人生観を織り交ぜて語られる〝感慨〟には、登場する小説世界にのめり込む活字中毒者のアイロニーの香が漂ってきそうです。エッセイに登場してくる作品には未だに読めていないものが多いなか、既読作品に巡り合うと思わず胸が弾みます。
2020/12/08
つちのこ
『感情の法則』はミステリマガジンに連載したコラムをまとめたものだが、時折出てくる家族(特にふたりの息子)の話の中で、親と子のかかわり、北上本人と亡くなった父親との絆の描写はなかなか読ませる。 また、一方で家族の団欒から離れ(様々な理由で)父親業を放棄しながらも、「俺は駄目なオヤジだ」とうそぶきながら、もう一方では、人一倍家族思いのオヤジ像が見え隠れしているのも興味深い。
1999/05/17
慧
★★
たろ
★★★☆☆ひたすら本を読んだ作者のエッセイ。やはり文章が上手いな、と思った。
2024/10/11
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