ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか: 探偵小説の再定義
ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか: 探偵小説の再定義 / 感想・レビュー
おおかみ
時は前世紀末、本格探偵小説「第三の波」は第三ステージに差し掛かっている。かつての衰退を回避するためにその現在を解読、可能性を模索した笠井潔のライフワークが本書。都筑道夫『黄色い部屋はいかに改装されたか?』、ベンヤミン「複製技術の時代における芸術作品」の検討を中心に、リアリズムやキャラクター指向、脱構築といった諸問題に広く言及しており、探偵小説の論点がいかなるものか理解できる。
2012/01/14
縛の場
新本格が一段落し、京極やメフィスト賞作品が現われた当時はやはり困惑だったのだろう。世代間ディスコミュニケーション、コード本格がもたらすオタク化、教養主義化。「密室」等に代わる新たな謎を、と提言していたのは法月さんだっけ? 一章まるまる匿名座談会批判……。確かにこのミス座談会の下品さ下劣さには嫌悪感しかない。キャラ読み読者も大事、というのは今となってはわかるが、「榎木津ファン」と「中禅寺ファン」間でも理解しあえない時代がくるかもしれない……というのはさすがに笑う。(実際のところどうなんだ?)
2016/12/24
風見鶏
実に半分くらいは公開口喧嘩で、そこまで言うかというほどの罵詈雑言に笑いながら読むことになってしまった。笑える評論ってなかなかないと思う。未だに大量死と大量生がよく分からないんだよなあ。大量死によって大量生が対象化されているとして、ミステリ的にそれって関係あるんですかって思ってしまう。九二年に名探偵たちのシリーズが次々に中断していったのは絶対個人的な理由だろうと思っていたら対談でまさに著者本人からそう言われるわけだし、果たして本当に関係があるのかと疑問に思うことが多かったり。まあそれは文学研究も同じですが。
2014/10/07
ジャム
高校時代に。綾辻さんとの対談や著者の探偵小説論が独特で面白かった。
2009/02/01
いちはじめ
ミステリマガジンでの連載をまとめた第一集。この人の一番面白いのは喧嘩を売ってる時だなと、匿名座談会を巡る批判の部分を読んで思う。
2001/04/15
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