ミステリ・オペラ: 宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)
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ミステリ・オペラ: 宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド) / 感想・レビュー
NAO
満州、南京大虐殺、オペラ『魔笛』、作中作品、パラレルワールド。かつて満州で起きた殺人事件とその50年後に起きた奇妙な事件。2つの事件を描くに当たって、なんと壮大で複雑な舞台を設定したことか。その壮大さの裏側に隠れている身勝手な人間の卑小さが、なんともいえない。
2024/11/07
勇波
1ヶ月かけてようやく読了。詰め込んでますねぇ。決して無駄に長くはないです。一生かけても読み終わらん錯覚起こしそうになりました。これほどの重厚感を喰らったのは久々。笠井潔の『哲学者の密室』以来か。今すぐにでも再読したい一冊。2回目は更に面白く読めるのが分かってますから。但し再読時は文庫本で。とにかく内容も重量も重いのだ。寝ながら読んだら凶器本になるよ。本書が出版されたのは2001年。20世紀に区切りを付けるべく世に出されたのでしょうか?今を生きる人間にとって運命を示す宿命城に何を想い何を願うのでしょうか★
2016/12/26
藤月はな(灯れ松明の火)
「Yの悲劇」、「虚無への供物」、有栖川作品にも出てきた「赤死館殺人事件」の意外な登場、「黒死館殺人事件」だけではなかった小栗虫太郎作品特有のスパイ物などのガジェットがふんだんに盛り込まれた本格ミステリ。煙に巻くような外連味がとても心地がいい。しかし、満州が日本軍によって創られた時代に甦った大虐殺された死者と殺人事件、怒れるオペラ歌手と共に並行世界を信じている妻、しばらくの間、浮いていたとされる飛び自殺したとされる男などの現在の事件が次第に掏り合わさっていくのが駆け足気味なのが少々、残念。
2012/09/17
山田太郎
本格ミステリっていうとちょっと違う気もするが、面白かった。旧かなでちょっとはじめは読みにくいけど、いっき読みでした。しかし、長かった
2011/01/24
ホレイシア
茫然自失状態から戻ってきた。タイトルどおり華麗なオペラを見終わった気分。言っておくが、舞台は多分、個人の想像の範疇を超えるラマ教寺院だ。しかも関東軍が絡んでいる。どう考えても美しくなりようはないのに豪華絢爛な世界が広がっていた。そういう感想が見当たらないので独特の読み方をしちゃったのかもしれないが、相性がよかったのは幸せだ。ついでに言うと、著者近影、とてもいい笑顔をしておられる。お若い頃よりずっといい。こういう年の重ね方をしたいものだ。
2009/11/10
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