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昏き目の暗殺者

昏き目の暗殺者

昏き目の暗殺者

作家
マーガレット・アトウッド
Margaret Atwood
鴻巣友季子
出版社
早川書房
発売日
2002-11-01
ISBN
9784152083876
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昏き目の暗殺者 / 感想・レビュー

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遥かなる想い

2000年ブッカー賞。 カナダの作家による 不穏で妖しい物語である。 妹ローラの転落死から 始まる一族の不幸の背景には 一体何が あるのか?アイリスが語る視線は意地悪で、 読んでいて戸惑う…重層的な物語の展開は なかなか真実にたどりつかないが… 最後は 儚いローラと アイリス姉妹の 物語だった。

2018/09/23

ケイ

余韻が付きまとってくる。ガーディアンリストの分類ではSFだが、解説にもあるように一括りにはできない。アイリスの女の一生であり、妹の死亡の真実を探るミステリでもある。書き手の信憑性…、誰についてだろうか、そこから考えねばならない。これは、深い絶望から発している。貶められた女としての人生。お金のある家族からの支配。裏切り、裏切り。さらに裏切り。彼女の周りに信じられるものはなかったのだから、彼女が信憑性が疑われる話をしたとして、何が悪い? みなに罪がある。アイリスにすら。そして皆、それぞれの真の人生を失った。

2017/05/31

まふ

面白いと言えば面白いが、その面白さを作らんがための細工が気になってしまった。二重、三重、四重の「虚構」が作者の仕掛けた「仕組み」であろうが、煩わしくもあり、わざとらしさ、作りすぎが鼻に付く、と言ってしまったら元も子もなかろうが、ブッカー賞を取った作品であるので相応の賞賛はしておこうと思う。とは言え、「侍女の物語」でも感じたのだが、この作家の書き方はやや才気走っているような気がして(翻訳の問題ではなかろうと思うが)、どうも私には少し合わなかったようでした。G1000。

2024/01/30

扉のこちら側

2016年264冊め。【161/G1000】裕福な家の令嬢アイリスが語る自分と妹ら家族の物語と、老婦人となったアイリスが語る現在視点の話、妹が書き遺した作中作の『昏き目の暗殺者』という物語、さらにその『作中作の作中作』の物語、新聞や雑誌の引用記事の数々が絡み合う複雑な構成のため読むのに手こずった。G1000ではSFジャンルに分類されているが、私は19世紀のある一族にまつわる年代記として読んだ。「ある地点をすぎると、経験という惨害はひとを退行させる」。なんて切ないんだ。

2016/04/20

mii22.

重厚かつ重層に織られた絨毯のようなどっしりとした職人技の芸術品のようであるが、織り込まれているのは、哀しみ、裏切り、孤独。最後のひと織まで全景を見せないこの物語は最後の一行まで緊張感をもたせその後の余韻が長く後を引く。時代の流れや戦争、そして名家の没落だけが、彼女たちをがんじがらめにし、自由と心を奪ったのではない。作中作『昏き目の暗殺者』は物語だけの中にいるのではない。支配し、支配されるものがある限り現在も未来にもその存在はあり続ける。アトウッドの作品にはいつも圧倒され打ちのめされる。

2018/10/25

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