インヴィジブル・モンスターズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)
インヴィジブル・モンスターズ (ハヤカワ・ノヴェルズ) / 感想・レビュー
harass
著者二作目の『ファイト・クラブ』がヒットしたので出版を断られていたこの処女作が世に出た。顔の下半分を失った元売れっ子モデルが語り部で、絶望していた彼女はある女性に出会う…… いろいろ荒くご都合主義と感じるところがあるが、強烈であけすけで露悪趣味に溢れていて、実に尖った作品。著者のエッセンスが凝縮されていると感じる。表題は、行き交う人々が彼女の傷ついた顔を見ないようにしていて、透明な化け物のように振る舞うことから。複数形であることに疑問に思ったが、途中で確かに複数形で正しいと気づき驚く。復刊を求む。
2016/10/08
踊る猫
チャック・パラニュークは、ウェルメイドに語ることに対する含羞を持っている作家なのだと思う。この時代において、なんのためらいもなく「小説」してしまうことを恥じる……だから彼の語りは時折韜晦を孕み、悪文と呼ばれるものとなる(そして、彼の作品はメタフィクションの仕掛けに満ちていることもまた了解できる)。この小説においてもストーリーだけをピックアップすればミニマリストの作家なら短編で処理できるものだろうが、それをここまで破壊のイメージに満ちた、奇妙に明るい呪詛を交えた作品として生産してしまうのは流石であると思った
2021/11/13
hikarunoir
「ファイト・クラブ」前史再読。「チョーク!」位まで主人公には強烈な価値転倒を促すメンターが登場するが、その極北/原点を悪文で堪能できてお得。
2020/04/30
楽市
もし、悲観主義が人間味あふれる感傷的な情緒である、とため息をつきたいならこの小説を読めば良い。 つまりこれは「物語」という方法で決して語り得ない悲劇なのだ。 未来を描くため、スコットはモノで空間を圧倒した。恐怖を描くため、キングは日常のディティールで行間すら埋め尽くした。そしてパラニュークは、悲劇を描くために、小説という枠組みさえも打ち砕き、それを箴言と固有名詞で填隙した。 寧ろ、小説の帰結である「悲劇」ということばではこの文章の本質を捉える事すら出来ないだろう。これは、そういうお話である
2015/02/21
ナギ
「それは知らなかったわ」
2014/01/05
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