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銀輪の覇者 (ハヤカワ・ミステリワールド)

銀輪の覇者 (ハヤカワ・ミステリワールド)

銀輪の覇者 (ハヤカワ・ミステリワールド)

作家
斎藤純
出版社
早川書房
発売日
2004-06-25
ISBN
9784152085627
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銀輪の覇者 (ハヤカワ・ミステリワールド) / 感想・レビュー

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NAO

戦争の足音が忍び寄る昭和9年5月に開催された、下関から青森まで本州を縦断する<大日本サイクルレース>。謎の多い主人公響木と、彼がチーム戦を持ちかけていく個性的なメンバーたちを巻き込んだ、ミステリ仕立ての冒険小説。自転車レースという日の当たる面と、当時の社会情勢に絡んだ問題という影の部分とが絶妙に描かれている。自転車レースに関する描写などは、近藤史恵よりおもしろいのではないかと思う。また、響木がチェロを弾くなど、さりげに郷里の作家宮沢賢治への作家の思いも記されている。

2016/11/20

はじめさん

戦前、山口から青森まで本州縦断する自転車レース開催! 支給される実用車に跨り、名誉と賞金を求めて男たちは走る。主催財閥に因縁をもつ、かつて仏でレーサーとしてならし、紙芝居屋に身をやつした凋落の貴種は、初日に個人戦登録の陰のある男たちを見初め、強引に団体戦登録に切り替える。仇の御曹司、ドイツから放たれた軍人たち、自転車提供企業…数多のチームとの死闘と沿道に出没する新興宗教、背中を預けるチームメイトらは身分を偽っているらしいが、実戦でそれぞれの脚質に覚醒してゆく。かくして復讐は果たされるのか。銀冠は誰の手に?

2020/07/24

ペトロトキシン

内容としては古臭い感じがしてしまう。ドロップハンドルの自転車が既に存在しているのに、何故に商用自転車でレースをしなければならないのか?そこのところが少しだけミステリー仕立て。ミステリーって程じゃないけど。

2018/01/28

紅はこべ

時代は昭和9年。五輪参加の為、日本は自転車競技をアマ化したそうで、それに反対する人物が主催するプロによる本州縦断ロードレースが舞台。主人公はチェリストになる夢が断たれ、ツール・ド・フランスの参加経験があり、紙芝居屋もしていたという異色の経歴の持主。宮澤賢治の教え子でもある。このレースは団体戦と個人戦があり、その戦い方の差、賞金を巡っての思惑、出場者の秘めた過去、レースの駆け引き、軍部や特攻の暗躍など、読みどころ満載。選手のキャラもそれぞれ魅力的。

2008/06/25

ぶんこ

第2次大戦前の昭和初期、下関から青森までを競争用自転車ではなく、実用自転車で縦断する、壮大なロードレースの模様を書いた小説です。軍部や財界の思惑と、参加選手達の様々な事情がからんで、複雑な様相をみせます。多額な賞金をめざして、自分の事だけで精一杯だった選手達が、レースを続けていくうちに、自転車競技ならではの、助け合いをしていったりと、心温まります。主人公が幼い頃、東北の田舎町で、駆け抜けていく自転車の迫力と美しさに魅せられた情景に深い共感を覚えました。自転車の構造とか、走り方がよく判って目からうろこ。

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