KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

エリザベス・コステロ

エリザベス・コステロ

エリザベス・コステロ

作家
J.M.クッツェー
J.M. Coetzee
鴻巣友季子
出版社
早川書房
発売日
2005-02-01
ISBN
9784152086211
amazonで購入する

エリザベス・コステロ / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ミカママ

【原書】クッツェーが創作上の女流作家、エリザベス・コステロを借りて、自身のオピニオンを語る作品集。コステロ(これもまた意味深な名前)が世界中を旅しながら、8つのレッスンを読者に残して行く。「食肉産業は、ホロコーストとなんら変わりない」に衝撃を受ける。その意見に寄り添うことはやぶさかではないが、わたし自身は実行には至っていない。クッツェー、読めば読むほど惹かれる作家ではある。実際に読んだのは:https://bookmeter.com/books/3500823

2018/08/18

ケイ

初老の女性作家コステロの代表作は『ユリシーズ』の登場人物ブルーノの妻を主人公としたもの。それが陳腐にならずに世界的作家となったために、様々な国で賞を授与され、その記念講演するも、奇天烈な語リのために彼女の講演に付き添う息子は頭を悩ませる。このあたりは『動物のいのち』でも書かれているが、何をスピーチで話すかを決めるのは作家であり、聴衆にどう受け入れられるのか、更には他の有名作家にどう取られるか、彼らの批評をどう行うかという視点は、作家ならではの気になり方なのか、もしくはクッツェー流の文壇への皮肉か。(続く)

2018/08/16

NAO

文学賞受賞の場、文学講師を務める世界周遊の船上、文学シンポジウムの場、エリザベス・コステロがあらゆる場所で物議をかもし、世の人々を戸惑わせ不興をかい自らを苦境に追いやるが、それでも、彼女の文学談義は、その鋭い矛先を鈍らすことなく、彼女は、厳然たる姿勢を揺るがそうとしない。「リアリズム」は、徹底的なリアリズムに対する皮肉で貫かれている。「マリオン・悪の問題」は、文学はどんな悪でも書くべきか否かという問題について。「門前にて」は、作家にとっての煉獄についてカフカの作品にそっくりの不条理な審判が繰り広げられる。

2024/10/08

かふ

架空のオーストラリア出身の女性作家エリザベス・コステロという人物を設定して、文学賞受賞スピーチや講演、クリスチャンの姉との対話など、文学論的メタフィクション。大江健三郎の晩年の仕事につながるところがある。ジョイス『ユリシーズ』の妻を描いた小説で注目を浴びるというのがメタ小説だった。サイードのオリエンタリズムやフェミニズムに言及したり、最初が「リアリズム」というフィクションを描いている。その後に植民地文学、神について、悪について、エロスについてと文学的問いに正面から挑むのだが、最後はカフカの掟の門前だった。

2023/09/23

コニコ@共楽

『鉄の時代』のあとがきの「よみがえるエリザベス」を読んで、ミセス・カレンのよみがえりを知りたくて手に取ってみる。「これは講義集?小説?エッセイ?」と混乱。小説家エリザベス・コステロは想像上の人物でありながら、スピーチやインタビューを重ねて議論していく。その主張は、クッツェー本人が考えているのか、想像上の人物エリザベスをクッツェーが批判しているのか、判別しにくい。6編のテーマで「アフリカの小説」が興味深かった。英語で書かれた口承文学とレッテルを貼られたアフリカ文学が”通訳文学”であったという指摘が面白い。

2022/11/30

感想・レビューをもっと見る