三百年の謎匣 (ハヤカワ・ミステリワールド)
三百年の謎匣 (ハヤカワ・ミステリワールド) / 感想・レビュー
紫
冒険活劇本格ミステリ風味。三百年にわたって書き綴られた怪事件の記録は、海賊譚あり、秘境探検あり、西部劇ありと、往年のハリウッドのB級活劇を思わせるストーリーテリング。いずれもボリュームは30~40P程度、謎解きは薄味ながら、テンポよく話が進んでいくので飽きさせません。意外な登場人物の人選にもニヤリ。残念なのは外枠となる現代の事件でして、過去の事件との繋がりがあまりに薄くて拍子抜け。ここのところをしっかり作り込んでもらえていたら大傑作になったかも、とたいへんに惜しい気分であります。星4つ。
2015/01/30
ちょく
読み始めてすぐに既読本であると気づいた。三百年に亘って六編の物語が書き綴られた手記、それらがヒントになって現代の殺人事件の謎が解き明かされるという構成になっている。一つ一つの物語にも趣向が凝らされていて面白い。そういえば冒頭に森江春策のイケメン風な挿絵があったが、もはや中村梅雀さんのイメージしかなかったので違和感が抜群だった。でも、本来はイケメン風のほうが正解なのかな。それにしても芦辺作品は順番に読んでないこともあって、未読本がどれなのかさっぱり分からなくなってしまった。
2013/11/22
makoto018
本人が「物語」というものへのお礼として書いたということで、謎匣たる手帳に記された各話の話はなかなか面白いし、そこが読みたかったんだけど、現代の探偵パートはむしろなくてもいいかと。百物語みたいにそれだけどんどんつなげていくのでもいいなあ。
2012/12/26
カムリン
面白い。いや~、いろんな趣向で書ける人だったんだね~。千夜一夜物語のように幾つもの短編を内包した構造。一番外側の現代の探偵さんが全部の謎解きをしてくれるのだが、一つ一つの短編が上質の本格ミステリに仕上がっているので、短編集としてだけでも十分楽しめる。現代の事件はむしろ余分に思えるほど。短編それぞれの味わいはけれん味たっぷりで、とても気に入った。個人的に最も好みだったのはアフリカ大陸を舞台にした探検ミステリ。本格ミステリ好きに自信をもってお勧めできる一冊。
2011/12/12
こだま
中世の日本から海賊の跋扈するインド洋、清朝末期の北京、ウエスタンと、変転する時代を超えて謎が書き綴られた本。その謎の方がおもしろすぎて、本編の謎解きが唐突かつ平凡に見えました。でもおもしろいです。
2010/06/10
感想・レビューをもっと見る