くじ (異色作家短篇集 6)
くじ (異色作家短篇集 6) / 感想・レビュー
紅はこべ
文庫版も出たけど、私の手元にあるのはこの版。悪魔は侵入者、或いは子供の姿をとって現れる。この世での地獄はニューヨーク。トランプを生んだことを思えばさもありなん。「チャールズ」ではオチが途中でわかった。「曖昧の七つの型」に登場する客の成金夫妻、特に夫の方は、絶対手に入れた本を読まないだろうな。書店主もこの夫婦も、本を愛する少年にとっては悪魔だ。
2017/01/31
藤月はな(灯れ松明の火)
再読。どこにでもいる人たちの面の皮をひっぺ返し、その残酷さ、欺瞞や滑稽さを曝け出すなら、シャーリイ・ジャクソン作品を読みましょう。「麻服の午後」や「意味の多様性」の自分の底の浅さを棚に上げる虚栄心。異様なコミュニティでも一早く、染まるのは子供かもしれないという事を残酷な言葉で突き付ける「背教者」は全体主義的な厭らしさに満ちている。「アイルランドに来て踊れ」は相手への蔑みから一転して「自分は善人だ」と酔い痴れて行う事程、信用のならないものはない。「チャールズ」はもしかしてローリー自身の話だったのかもしれない
2020/09/04
キムチ
びっしり2段、いやな場面と会話が広がる世界を読めるかなと思ったけど、読めた。だから人間の本性は案外残酷、ワタシ含めて。古典ホラーの元祖と言われるけれど、今でも人の性根は変わらない・・だから不愉快なベストセラー。面白いとは言いたくない。標題はくじに当たってなぜ、こんな仕打ちにと叫びたい気分だろうね、奥さん。ハリス氏が幾度か登場するのは謎だったが、巻末で納得。筆者はどこにでもいる平凡な人間像を設定・・そんな背後に悪魔をしのばせたそうな・・だからハリス氏。「対話」疎外する側の悪意が抜群。短編満載でゲップが。
2017/03/22
hit4papa
不快な気分の時を思い起こさせるちょっと厭な作品集です。気持ちがささくれだってくる様が、苛立たしくさえありますね。自己と他者といった相容れない二者の感情的な隔たりを、ネガティヴな側にスポットを当てて描いているようです。幽霊譚ではありませんが、寒々しい居心地の悪さはホラーと同質のものかもしれません。
Panzer Leader
アンソロジーに収録された数作以外、作者の長短編作品は初読み。本作前にO・ヘンリーを読んでいただけに、え、ここで終わり?と疑問を持つくらいオチのない(あっても自分が気付かないだけか)話が多い。何となく嫌な雰囲気のままラストを迎えるテイストのちょっと自分には合わない作品集でした。
2017/09/28
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