テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)
テロル (ハヤカワepiブック・プラネット) / 感想・レビュー
どんぐり
イスラム原理主義者がレストランでカミカゼを決行。自爆テロを起こしたのは、夫が高名な外科医で、イスラエルに帰化したアラブ人女性。いままで政治的な活動をしたこともない妻が突然、爆発物を身体に巻きつけて、自分もろとも吹き飛ばす。妻の行為が信じられない夫はパレスチナ自治区に入り、親族の係累をたどって真相に迫る。そこにあったのは、妻に生きることを選ばせることができなかったこと、同じ屋根の下で暮らしいたものの、見ているものは同じではなかったという事実。→
2021/09/13
白のヒメ
イスラエルに住むアラブ系のエリート外科医の主人公。ある日警察から連絡があり、なんと妻が自爆テロを起こしたという。幸せな結婚生活を送っていたのに、一体どういうことなのか。主人公は呆然としながらも理由を究明しようとする。・・・イスラエルの宗教問題、政治問題は歴史的に根が深すぎて、キリスト教などと縁のない暮らしをしている私には理解しがたい。理解しようとこういう本を手に取ったりするのだが、やはり「一体どうしてこんな事に」という気持ちにしかなれないのだ。宗教は生きる為のものではないのか。理不尽にしか思えない。
2018/05/04
南雲吾朗
いつまでも止む事の無い内戦は何故継続しているのか?それは貧困の為や領土拡大の為の戦争ではなく、自由を勝ち取るための戦争だから。そもそも、自由に対する根本的な考えの違いがある。否、考え方などと言う半端なものではなく、信念の違い。「自由とは心の底からの信念なんだ。」 「これは誰の身に起きてもおかしくない事なんだ。災難の様に降りかかってきたり、寄生虫か何かのように心の中にとりつくのかもしれない。それを境に、二度と世界は同じように見えなくなる。」 幸福という考え方を根底から揺るがされる物語。良い本に出合えた。
2018/04/07
たまご
初めは謎。そして主人公に対して、嫌悪感。そのあとの主人公の決意に半分同感。主人公に対する感情がこんなに変遷する作品だとは。わかりあうこと、わかりあえると思うこと、わかりあえないこと、あなたの気持ちを知ること。考えるより感じることが多かった気がしました、
2021/10/21
翡翠
モヤモヤが残った。アミーンとシヘムのあまりの隔たり。アミーンにとって生きることは地位の確立、豊かな生活〜贅沢な家に美しい妻。シヘムにとってはアイデンティティの追求。分かり合えるはずはなかった。最近つくづく思う。人間って分かり合えることなんてないんだから、言葉を尽くして努力して自分を守り、平和を維持していかないといけないことを。最近の、一番大事なのは命と言い切ったあるTV社員と、命をかけて守りぬくものがあると信じる私との隔たりを感じたばかりなのを思う。
2022/04/07
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