マーブル・アーチの風 (プラチナ・ファンタジイ)
マーブル・アーチの風 (プラチナ・ファンタジイ) / 感想・レビュー
oldman獺祭魚翁
流石の女王コニー・ウィリス どの一編も見事な仕上がりです。 進化?を皮肉った「白亜紀後期にて」 お笑い宇宙からの侵略者の「ニュースレター」 近年日本でも見かけるようになったクリスマス・デコレーションがついに外注化されちゃった世界を描くドタバタラブコメ「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」 年々歳々、花相い似たり 歳々年々、人同じからず…だれもが何時かは感じるのだろうか?「マーブルアーチの風」 そしてとんでもない人物の魂が降臨してしまう傑作「インサイダー疑惑」…どれもこれも楽しい中短編集です。SFの女王健在です。
2017/08/29
くさてる
短編集。様々なタイプの作品が掲載されているが、ロンドンを夫婦で訪れた中年男が出会った不思議な風とその正体を描いた表題作が身体にしみいる寂しさで泣いてしまった。老いと死と時間の流れをこんな風に表現されてしまっては言葉も無い。どうすればいいか分からない。「ひいらぎ飾ろう~」の明るさと馬鹿騒ぎな感じは読後感も良く楽しいのひとこと。そして懐疑論者が出会ったチャネラーとの戦いをコミカルかつ謎解きの要素込みで描いた「インサイダー疑惑」がときめきの展開でよろしかったです。
2017/08/24
ニミッツクラス
08年(平成20年)の税抜2000円の単行本初版。5冊ある邦訳作品集の3冊目。表題作を含む5つの中短編を収録で大森氏訳。プラチナ・ファンタジイは、早川ハードカバーのFT系サブレーベルなのかな。現代的でスマートな筆致と背景設定は、広い読者層に訴求できる。レーベル通りF系にシフトしているので中短編ではやや薄口の感。大学組織の改革ネタの「白亜紀後期にて」を巻頭にしたのは、一見さんなら積読行きの危うい設定だった。H賞ノヴェラの2編(表題作と「インサイダー疑惑」)は、今後は鉄板作品と呼ばれるのだろうね。★★★★★☆
2021/06/01
もち
「復讐の季節じゃなくて、赦しと善意の季節のはずでしょ」◆クリスマス飾りは外注する時代に。デザイナーのリニーへ、機械音痴の女性からの依頼が届く。滅多にない対面での会話を甥と交わし、心惹かれるリニーだったが――(『ひいらぎかざろう@クリスマス』)■コメディ、シリアス両方が程よく収録されたSF短編集。クリスマスもの二本のポップさもいいが、年月の哀愁と余韻に満ちた表題作や、霊媒を暴くことが愛しい事実を指し示す「インサイダー疑惑」も捨て難い。
2019/09/10
Mc6ρ助
「空襲警報」の感想で、コニー・ウィルスさん、未読は「我が愛しき娘たち」のみと豪語したのはどこの爺さまだったか。しっかりこれも未読の短編集、しかも、「インサイダー疑惑」半端ではなかった。今度こそ残るは、「我がいとしき・・」のみ!
2022/03/12
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