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あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

作家
長谷敏司
出版社
早川書房
発売日
2009-08-01
ISBN
9784152090621
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あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) / 感想・レビュー

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TSUBASA

擬似神経によって経験や感情、人格を人工的に形成する言語ITPを開発したサマンサ。彼女は突如襲われた免疫不全により余命幾ばくという身体で、ITPの検証という仕事に打ち込み最後の最後まで死に抗い続ける。サマンサの社会の倫理や自然の摂理に徹底的に抗う姿勢というのは正直ついていけない部分があった。人格を持った人工物の価値基準は生身の人間とは異なる。サマンサが仮想人格《wanna be》の創作と対話があったからこそ得られた安らぎというのがあったのかもしれない。とにかくサマンサの病苦の描写が凄惨で苦しかった。

2020/04/29

BUBI

西暦2084年、一人の女性が34歳の若さでこの世を去る。衝撃の死のシーンからこの物語は始まります。…私は子供の頃から本を読むのが好きで、大人になってから「読書」の効用とは「未来予測」できるようになることだと思うようになりました。私達は自分にとっての物語を創造し、その物語どおりに人生を歩いています。でももしかするとそれって超つまんないことかもね。…かなり難解なSFですが、一応ITPとは何か、私は自分なりにイメージできたつもりです。SF好きな人はぜひ挑戦してみて下さい。でも「死」が怖い人にはお勧めできないか。

2021/09/19

nzm

主人公が34歳で死ぬ冒頭場面から、これは伊藤計劃の話だと思ってしまい、異様なかたちで感情移入して読み進んだんですが、享年は偶然の一致だった模様。編集者によると、本書のプロットが提出されたのは2005年3月だそうで、伊藤計劃の作家デビューの2年前。グレッグ・イーガン「TAP」(邦訳は2008年12月)を思わせるITPの設定も、2003年のSFマガジンに載った長谷敏司の短篇「地には豊穣」にすでに登場しているので、これまた偶然のネタかぶり。期せずして、現代SFの最先端といろんなかたちでシンクロし、響き合った作品

2009/09/07

unknown

超ストロングなブラックコーヒーにさらに塩を盛ったような1冊。主人公の壮絶な死に様が描かれるエピローグ的なプロローグを皮切りに、余計な手心や感傷はラストの一文に至るまで殆ど加えられず、「死」「機械と人間のあり方」について、形而上的問いかけで淡々とストイックに展開していく。心情的にも肉体的にもヘヴィな展開が容赦なく続くのだけれども、仮想人格【wanna be】と主人公とのやり取りには、結末がどうあれ幾分かの救いの面があったように思う。また、本書のシンプルで無機的な装丁には、読後の印象を随分代弁してもらった。

2010/11/04

ミツ

要再読。しかし読む時期を間違えると大変なことになりそうなのでそれなりの覚悟を持って臨むべし。 「死」は誰にも平等に、しかし突然不意打ちのように訪れる、太古の昔から現在まで、そしてこれからも我々人間について回る現象である。 怒り、悲しみ、恐怖し、戦っても逃げても必ずやって来る死。 人格を記述し移植が可能になろうとも、それが克服されることはない。 死をどのように扱うかという問いとそれに対する物語の可能性を提示した佳作。

2010/09/28

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