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バレエ・メカニック (想像力の文学)

バレエ・メカニック (想像力の文学)

バレエ・メカニック (想像力の文学)

作家
津原泰水
出版社
早川書房
発売日
2009-09-01
ISBN
9784152090676
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バレエ・メカニック (想像力の文学) / 感想・レビュー

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紅はこべ

ある日東京に幻想的異変が起こる。それは7才から脳死状態で9年間生存の少女理沙の夢や記憶が現実化したもの。理沙パニックと名付けられたその現象と、その後40年間の世界を、理沙と直接的間接的に関わる3人の男達の視点で語られる物語。冒頭のエログロな性的シーンに辟易して、最初は入り込みにくかったが、世界観をつかめたら、一気に物語世界に耽溺できた。津原さん、こんな美しいSFが書けるんだから、Twitterで荒れていないで、創作に専念してくれるといいのに。『不思議の国のアリス』も作品の要素の一つ。

2009/12/29

愛玉子

ネットワークの見る夢が現実を浸食していく。(あんたの肢、一本多いわ)はみ出す。(体験の一切が信用できない)膨れ上がる。(シーグラスは波打際に)巨大な馬は現実のラインを粛々と歩き続ける。ブラジャーは大量殺戮を、帽子は不死を。密林の中の雑司が谷。物語は幻想からサイバーパンクへ変容を遂げる。色彩、音、怒涛の如く押し寄せるイメージの奔流にもみくちゃにされながらも魅了されずにいられない。読むというより体感する驚異の幻視世界。

2010/03/20

えも

植物人間状態の少女の夢想が東京の都市ネットワークを介して現実を浸蝕し、少女の死後も、電脳都市の中にその意識は残留し続ける■サイバーパンクにも似た幻想の中に、親が子を、子が親を希求する想いが見え隠れする

2014/02/02

tomo*tin

まともな感想を書ける気がちっともしないので読後の率直な気持ちを己の記憶のために記す。これは潜り込みたくなくても潜り込まされてしまう物語であり私は冷静さを別の世界に置き去りにしてただただ没頭し、自己と外界と感情と感覚と記憶が混ざり塗れた世界、けれど同一にはなりえない世界、みたいなものを見た、気がする。うまく言えない。とにかくとにかく大好きです。続けて3回読んだけれど、まだ足りない。何度でも読みたい。特に第一章がすごく素敵でラヴ。

2009/11/11

キキハル

前評判の高い作品だが、実際この過剰さに驚いた。言葉も事象も夢も、あふれてとどまりきらない。リアルな幻想美と、圧倒される想像力にすなおに脱帽しよう。とくに第一章がよかった。娘を想う父の姿が滑稽なほどいとおしい。最後のシーンではなるほどと納得し胸にジンときた。とてもとても楽しく読んだ。こういう本をじっくり読める平和な世界で本当によかったと、感謝したい気持になった。ブラジャーは偉大だけれど、理沙パニックはちょっと困るもんね。

2010/02/21

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