僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)
僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド) / 感想・レビュー
nyanco
あり得ない設定をぐいぐいを読ませるのが小路さんのパワーだが、何といってもキャラクターが良い。イイ人ばかりのあり得なさは小路作品の良さ。何といっても秀逸なのはナタネ。この謎の人物の飄々とした感じが面白いのだが、彼が甘党の理由が解った時の驚き、感動!、この作品の良さはココに尽きます。その後、ラストまでの一気に駆け抜ける感じもとても良かった。結論を出して、誰かを悪者にしないのもとても小路さんらしい。私の中での小路作品、ベスト1!イチオシおススメです。続→
2010/07/29
七色一味
読破。50時間起きて20時間眠る睡眠障害を持った主人公の物語です。サスペンス仕立てのストーリーは、軽妙な語り口調とミスマッチして、深刻な事態をまるで作中作を読むように切り離した、冷静とも洒脱とも取れる感覚でシナリオを組み立てながら進んでいきます。謎の協力者「ナタネ」やハッカーの「リロー」その他の協力を得ながら、身に迫る危機と実家に迫る危機を乗り切る──んですが。軽妙洒脱な感じはいいのですが、設定を生かし切れない物語構成と、それ以上に気になるのがちょっとご都合主義が過ぎる点。(続く)
2012/08/14
ちはや@灯れ松明の火
50時間の昼と20時間の夜、狂った体内時計は理不尽な暴力から兄妹を守るための代償かつ勲章。そんな彼の元に転がり込んだ曰くありげな2億円、神様からのご褒美か悪魔の仕掛けた罠なのか。平和な生活を賭けた魔法使い《mage》のゲームが始まる。守るべきもの、身の安全と経営危機状態の実家の町工場。見えぬ追手、強奪屋に奪還屋。心強い味方、謎の甘党紳士とミステリ好き看護師。15年前の謎、失踪した母と殺害された父。旅の果てに彼は悟る、長い昼の後の無防備に眠る長い夜には数多の星が輝いて横たわる彼を見守るように照らしていると。
2010/10/17
紫 綺
いつもの小路さんとちがって、ミステリ&ハードボイル。なかなか楽しめた。根底には小路ラブともいうべき人情論が流れていて、ほっと心温まる作品。作者の進化を感じる一作。
2010/10/10
みんと
正直言ってあまりピンとこない感じ。 主人公の少年が50時間起きてて20時間寝るという特異体質も、事件とはほとんど絡むこともなく、そこをもう少し面白く作品中に取り入れて利用できれば良かったのにと残念な気持ちである。 家族の不幸な過去も雑然としていて、感情移入できないのである。 登場人物のキャラクターも存在感が薄い気がする。 それでも、最後はじーんとくる場面もあり、ちょっとほんわかとした気持ちになる。 ナタネさんがいい味を出している。
2011/01/05
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