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ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

作家
宮内悠介
出版社
早川書房
発売日
2013-05-24
ISBN
9784152093783
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ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作を含む5つの短編から成る。SF仕立てだが、時間軸は限りなく現在、あるいは直近の未来。ヒーロー不在のハードボイルドといった趣きだ。とりわけ「ヨハネスブルグの天使たち」と「ジャララバードの兵士たち」は硝煙の香りのする潤いのない乾燥した世界の中で、今生きていることさえ不確かな、ひりついた状況を見事に描き出す。ここでは、もはやアイデンティティを問うことさえできない。そんな問いは贅沢であると同時に、ここでは空無だからだ。そうした意味で、これは20世紀を突き抜けた極めて21世紀的な小説だと言えるのかもしれない。

2014/01/06

hiro

SF作品で直木賞候補になったということに興味があり、図書館で予約した。近未来のヨハネスブルク、ニューヨーク、ジャララバード(アフガン)、ハドラマウト(イエメン)、東京を日本製ロボットDX9を軸にして、描いた連作短編集。正直言って、紛争を抱えた近未来で、ロボットのDX9が落下してくるという世界観をなかなか理解できなかった。特に、「ロワーサイドの幽霊たち」は、過去の9.11を描いているのか、近未来の9.11を描いているのかが頭の中で交錯して、半分も理解できていないと思う。こんな近未来は嫌だと感じた作品だった。

2013/08/14

みっちゃん

人の命なんて、ほんのちっぽけな価値しか持たない殺伐とした世界に現れる幻視的な光景。落下し続ける「歌姫」と呼ばれる少女ロボットはどうしてもあの、青い髪のボーカロイドを想像してしまう。ひたすらプログラミンクされた行動を繰り返す彼女達に神々しさを感じてしまうのは、まさに生命を持たない存在だからか。閉塞した絶望的な状況で、生き延びる道を模索する少年少女達に、一筋の希望の光を見い出したような気がした。追いかけたくなる作家がまた1人増えた。゙

2014/03/01

藤月はな(灯れ松明の火)

空から落ちてくる機械の歌姫達。金持ちの娯楽のために開発された「彼女たち」は戦争での兵器になる際に倫理的問題に考慮して自由意思などを消されたはずだった・・・・。宗教や言語の単一化など、自由意思を持つがゆえに志向する人間の業を絡ませながらも知能を持つ機械に自由意思は持ち得るのかという思考実験のテーマを描いた短篇集。個人的に9・11を浮かび上がらせる『ロワーサイドの幽霊たち』でのツインタワーの空間に持たせた本当の意味と『ハドラマウトの道化たち』での底無しの虚無に抗う虚無が印象的でした。

2013/08/08

巨峰

空から落ちてくる日本製美少女音楽ロボット。SF連作短編。現代クールジャパン風のアイテムを通奏低音に、テロ、日系人、3・11、ワールドトレードセンター、アラブ、イスラム、差別などの諸問題をぶっこんだ難解とも思える短編。頭を使うけど、興味深かった。特記すべきは各短編ごとに記載されている参考文献。読みたいと興味そそられるもの多々。ぜんぶ読みたい本に登録しました。

2018/09/10

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