コンチェルト・ダスト
コンチェルト・ダスト / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
(辛口コメントです)いがみ合う両家に起こってしまった鏖殺という惨劇。それは生き残った者たちの血で血を争うような復讐劇へと変貌を遂げるのか。シャイクスピアの『タイタス・アンドロニアス』を彷彿とさせつつも美少年、ファムファタル、吸血鬼という頽廃美要素は健在です。しかし、いつまでも自分の判断で死なせた妹に依存して助けてくれたドラガばかり、責めるエミールや兄の恋人のリオネラへ勝手なエゴを押し付けて酔うユリアンが気に喰いません。そしてラストに愕然。復讐も始まっていないのにこんな腑抜けた終わりなの!?
2014/02/04
わっぱっぱ
熟考、といえば聞こえはいいが要するに何をするにも鈍い頭を巡らせてうだうだと考えてしまう私。しかしふり返ってみるに、最終的には直感に従っている。恩人である鮑氏には「なら考えてる時間が無駄だべ」と言われてしまった。無駄だろうか。この沈思黙考が直感を育んでいるのだとすれば、必ずしも無駄とは言い切れまい?しかしだ、そうやって育てた直感がどれくらい優れているかというとこれが実に怪しい。一般的にみて敗北人生であることは否めないのだ。しかも我が直感はまだ“逆転できるよー”とか言ってるし。どうなの。で、本書。外しました。
2017/08/03
あじ
主人公たちが秀麗なだけじゃ惹かれない。内包された"人格"が伴ってこそ、与えられる称号。旋律に起伏がなく、独奏楽器が生かされていないコンチェルト。"美"が一人歩きしている。この作品は続編の刊行があるらしい。両家の復讐劇とドラガという血に飢えた怪物(と、しておこう)が、期待を煽るためだけの起爆剤だけであって、うやむやに煙にまくような終焉だけは避けて欲しい。
2013/11/20
とり
養蜂家の少年エミールとクンゼンシュテールン家のユリアン、二人の少年の物語が次第に交差し、絡まる。そのいいところで終わってしまい、続きがどうなるのか非常に気になります!正直、今と過去が、そして現実と夢とが混ざり合っていて難しかったですが、だんだん文章や世界観に慣れていったような。後半、エミールとユリアンが出会ってからの方がぐっと面白くなったように感じます。カフェでのシーンが可愛らしくて好きでした。血と報復のコンチェルト、二人の復讐劇の結末がどうなるのか、「後編」が出ることを期待し楽しみに待ちたいと思います。
2013/11/29
vertmidori
ヨーロッパの文芸映画を見ているような透明感。双子もの。兄妹ではなく、男女の双子。もちろんそれだけではないが。ゴシック描写も好きだったけど、みずみずしい色彩も豊かでした。脇役のフェルディナント兄さんが印象的。この幕で終わらないでほしい。続きがあるなら読みたい。
2013/10/12
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