ベスト・ストーリーズI ぴょんぴょんウサギ球
ベスト・ストーリーズI ぴょんぴょんウサギ球 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「深夜考」は眠れない人の苛立ちの心理やどうやっても眠れないことからの投げやりな感情をラ・ロシュフコーへの想いへ投影しているのが面白いです。「いかにもいかめしく」はラストにニヤリとしたり。映画『泳ぐひと』の原作者であるジョン・チーヴァーの作品は「『セールスマンの死』の長男が家族を持ったら・・・」という仮定を描いているような作品で(トラウマを与えてくれるという意味で)本当に良かった。もっと、ジョン・チーヴァー作品は翻訳された方がいいのに・・・。
2018/01/25
りつこ
なんか懐かしかった~。学生時代、ニューヨーカー短編集が好きだったし、ラードナー、サーバー、そしてアーウィン・ショー!今読んでも甘さと苦さがあっていいなぁ。特に好きだったのが「雑草」「救命具」「シェイディ・ヒルのこそこそ泥棒」「楢の木と斧」。また読みたい作家が増えたヨロコビ。
2016/02/25
かわうそ
「洗練された」という形容がよく似合う、都市に生きる人々の日々のことどもを描いた作品群。正直それほど好んで読むジャンルではないけれど、厳選されたものだけあってさすがに巧いと感じるものが多い。この手のアンソロジーは時代が下がるにつれて面白くなると思われるのでⅡ巻以降もそのうち読んでみたい。
2016/10/02
星落秋風五丈原
短編集は、翻訳者を編者若島さんが指名した形で編まれたため今までにない組み合わせが登場。小説ばかりではなくエッセイも収録。『この国の六フィート』「六フィートの土はすべての人間を平等にする」=冥途の道に王なしという意味だが、埋葬に際しても平等ではないという現実を偽善者の主人公の目から描く。手紙に励まされた女性ミセス・ガーデンが助けを求めて差出人の女性ミセス・アメリア・ホープの元を訪ねるが、会話が全然噛みあわない。ジャクソンの短編『悪の可能性』と同じテーマ―自分本位の善意は悪に転じることもある―を扱っている。
2016/03/08
くさてる
雑誌「ニューヨーカー」に掲載された作品のアンソロジー。エッセイあり時事ネタあり、小説ありとバラエティある一冊。どれも面白い粒揃いの本だと思うけれど、わたしはとにかくレベッカ・ウェスト「パルテノぺ」がいちばん。泣いてしまった。海軍提督と7人の娘たちのお話。美しく、せつなく、奇妙で怖い。どうしてこんな話を思いつくんだろうと泣いた。良いけれどつらい。ある種のひとのツボを押す話だと思います。
2016/02/13
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