ベスト・ストーリーズII 蛇の靴
ベスト・ストーリーズII 蛇の靴 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
『声はどこから』は渡辺佐智江さんが翻訳。当たり前のように身についている郊外の黒人蔑視とマクベス夫人のように殺人を焚きつける奥さんなどの周囲も怖い。『俺たちに明日はない』が面白かったです。そうか、この批評があったから『俺たちに明日はない』はアメリカン・ニューシネマの傑作として地位を獲得したんだ。『ホフスティッドとジーン』は私の中の腐女子レーザーが脳内で鳴りっぱなしでした(笑)『脅威』はデトロイトを中心にしていた車産業社会が終わりを迎え、日本車にボコスカにしていた時代のアメリカの心理を思うとちょっと冷や汗かも
2018/05/19
くさてる
すぐれたアンソロジーは、ジャンルも時代も超越してしまうことが分かる。どれ一つとして似たものはなく、共通しているのはどれもがすぐれた文章で構成された作品であること。それをまとめて読まされてしまうと、ただ圧倒されてうっとりと酔うしかないのです。個人的なお気に入りは、ユードラ・ウェルティ「声はどこから」ポーリーン・ケール「俺たちに明日はない」アイザック・シンガー「手紙を書く人」ル・グイン「教授のおうち」など。
2016/06/28
踊る猫
時流を反映した作品が収められており、資料的価値もある。それでいて、どの作品も今に至るもクオリティが落ちていないのは流石。ポストモダンをベースにした作品(ドナルド・バーセルミやニコルソン・ベイカー)に興味を惹かれるも、個人的好みとしてはむしろもっと叙情的で古典的な完成度の高いものを推したくなる。歳のせいかな。ポーリン・ケイルのエッセイも洒脱(だが、これは流石に好みとは合わず)。都会的な読み物と思っていたが、ジャズがそうであるように実は結構雑食で雑多なルーツを反映した、逞しい土臭さが売りと見た。どうだろうか?
2019/10/19
星落秋風五丈原
ポーリン・ケイルの「俺達に明日はない」レビューが良かった
2016/05/31
ポテンヒット
気になる作家と多数出会えた。シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー「幸先良い出だし」骨董店を訪れる裕福な若夫婦。彼らを静かに吟味する店主の独白から意外な結末に至る物語の妙味。アン・ビーティ「蛇の靴」ユーモアがありシニカル、かなり好み。マーク・ヘルプリン「マル・ヌエバ」子供時代を過ごした表題の地を半世紀ぶりに訪れる主人公。海に面した穏やかな場所で何が起こったのか、次第に明らかになり緊張感が増す。アイザック・B・シンガー「手紙を書く人」は既知の作家だが、現代の大人のお伽話のようで心に残る。
2024/06/28
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