ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
あるトラウマから広場恐怖症になり、家から出られなくなったアナ。そんな彼女の無聊を慰めるのは映画鑑賞(主にモノクロのサスペンス)とネットで施すカウンセリング、そして近所の様子を家から覗き見する事。しかし、それが彼女自身を窮地に貶める事になるとは、彼女は思いもしなかった…。殺人事件の目撃シーンが『裏窓』や『ダイヤルMを廻せ!』を彷彿とさせる程、映像的だ。しかし、酒を煽りながら服薬するアナの言動は危うく、誰の信用も得られない。そこにアナの見た事を知る読者はハラハラしながらも不安になってしまう。この匙加減は絶妙!
2019/03/09
NAO
信用できない語り手が主人公という話は多いが、アナほど信用できない、してもらえない主人公はいないだろう。広場恐怖症で家から出られないアナのトラウマの原因が気になるところだが、アナの単調な日常生活、ネットとのつながり、アナ視点でこっそり覗き見る他人の行状にどのように伏線が張られているのかとそっちも気になる。そんな中、ついに事件が起きる。起きた?
2019/02/11
白のヒメ
作中にもマニア的に古い映画の題名がたくさん出てくるのだけれど、この小説も、ヒッチコックの「裏窓」あたりを彷彿とさせる内容。裏窓は足の悪い主人公が双眼鏡で近所の家を眺めていたのだけれど、この小説は広場恐怖症で薬とアルコール漬けの主人公がカメラの望遠で近所の家を眺めていて事件に遭遇するというもの。古典映画を真似ているだけあって、ある程度ストーリーの展開も予測される感じなんだけれど、それはそれでまた楽しい。下巻へ。
2019/04/12
あさうみ
トラウマで広所恐怖症、酒に溺れ、レトロ映画にひたる精神分析医のアナ。殺人現場を目撃して、被害者を助けたいけど恐怖症で思うように身体が動かない葛藤がよくわかる。犯行現場を目撃しているのに刑事すら取り合わない。孤立無援かつ、家から出られない恐怖症を抱える彼女は、ミステリー小説の探偵として分が悪い!これで真相を証明できるのか。期待!下巻へ!
2018/09/22
ぐうぐう
夫と娘とは別居し、一人で暮らすアナ。広場恐怖症により、自宅からは一歩も出ることができない生活を強いられる彼女は、1940年代から1950年代の映画を浸るように鑑賞し、近所の家々をカメラで覗き見することで日々の鬱積を晴らしている。ある夜、隣家を覗いていると、女性が刺される場面を目撃してしまう。言うまでもなく、『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』は、ヒッチコックの『裏窓』へのオマージュとして描かれている。(つづく)
2018/10/03
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