カート・ヴォネガット全短篇 2 バーンハウス効果に関する報告書
カート・ヴォネガット全短篇 2 バーンハウス効果に関する報告書 / 感想・レビュー
ケイ
「女(承前)」「科学」「ロマンス」のセクションにまとめられた短編25ほど。どれも大切に読んだが、この順に中身が良かった。特に「女」の中の『ルース』(優しい嫁)、『スロットル全開』(空襲を仕掛けるママが最高)、『失恋者更生会』(頭の悪い奥さんへの一撃に笑う)らが、圧倒的に良かったな。出てくる人達がみな愛おしくて。「科学」からは『隣の部屋』(タブーの匂いね...) 各セクションの間に挟まれる編者?達の文章は妙にカッコつけてて読み飛ばしてやった。まだ未訳があれば、円城さん、お願いします。
2019/02/24
MICK KICHI
<マンスリー・ヴォネガット> 全短編2巻目、1巻目は戦争テーマ、意外につまらない印象だったが、本書のテーマは女・科学・ロマンス。ヴォネガットのシニカルなところよりも優しさが全面に出て、愛すべきマスターピースが揃った印象。「ジェニー」「百ドルのキス」「ユーフィオ」「エピカック」「はい、チーズ」「永遠への長い道」「夢を見つけたい」「FUBAR」あたりを推したい。ロマンステーマが特に読後格別なのは、ヴォネガットの魅力を再発見した喜びがあった。小川哲氏の解説は、リアルなヴォネガット体験を味わえるので必読。
2019/06/20
ヘラジカ
分冊された第2巻は約半分が既読だったので少し残念。でも良い作品は何度読んでも良いものだなあと。初読の作品のなかでは「ティミッドとティンブクツーのあいだ」と「永遠への長い道」(この作品をヴォネガットの短篇で一番に推す人は多いみたい)がお気に入り。ヴォネガットの短篇はロマンスカテゴリー以外の作品も全体的にロマンス色が漂っているけれど、なかでも「永遠への〜」は美しさが際立っている。ベタな恋愛ものではなく深読みして幻想小説として読むとなんとも物悲しい…。
2018/11/25
くみ
テーマ別にまとめられた短編集で今回のメインはSF。第1編集を読んだとき、この作者のお話はラストに希望のあるものが多く安心して読める印象で今回もその感触は変わらず。SFは多少後味微妙なものもありましたが、作者の慈しみが感じられます。第二次世界大戦で捕虜経験を持ち戦後は様々な仕事につきながら小説を発表していたヴォネガット。深く多様な経験があたたかい感情を生み出すという作者自身にも興味が湧きました。 特に好きなのは「ミスターZ」「スロットル全開」「バーンハウス効果に対する報告書」「恋に向いた夜」
2019/03/05
阿部義彦
今回は本領発揮のサイエンスが呼び物です。「バーンハウス効果に関する報告書」しかし、SFだけに留まらず、人間を愛するそして信じる暖かい眼差しこそが真骨頂。最後の「ロマンス」にはほろりとさせられました。
2018/12/27
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