息吹
息吹 / 感想・レビュー
starbro
国内外で高評価のSF作家、テッド・チャン、初読です。9篇からなるSF幻想譚の中短篇集でした。オススメは、『商人と錬金術師の門』&『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』&『オムファロス』です。高評価で兼業とは言え、こんなに寡作(17年で2冊)で職業作家として成り立つのでしょうか? https://www.hayakawabooks.com/n/n15666c94bb73?gs=d4be2631eaef
2020/08/12
ウッディ
最高のSF短編集の謳い文句に恥じない傑作。タイムトラベル、人工知能、天地創造、パラレルワールド・・バラエティに富み、どの設定も納得できる科学的な根拠があり、その中で人々が深く考え、自由に動き、物語の世界が大きく膨らんでいく。装置を通してもう一つの世界と交信できる「不安は自由のめまい」、車の事故で妻を亡くした夫に、逆に夫を亡くした別の世界の妻との交流を斡旋して金儲けをする商売、自分ならこの装置をこんな風に使うという想像を遥かに上回るアイデアに脱帽です。SFの醍醐味を楽しむことができ、とても面白かったです。
2020/11/01
こーた
小説を読む悦びを味わいながら読む。もっと没入できる小説はほかにもあるけれど、読んでる最中に、読書愉しいなあ!とおもいながら、それでいて物語にもちゃんと入っていける、そんな小説はあまりないようにおもえる。あらゆるタイプのSFを、見事書きわける。いずれもそのテーマで最高傑作と云える質の高さで。想像を超える異世界で、炙りだされる諸問題は、僕らの暮らす世界と何ら変わることがない。各篇の人物たちの経験する世界の見方の転換は、読む僕らにも惹き起こされる。異質と普遍の間のゆらぎが、僕らを遥か遠くまで連れていってくれる。
2023/07/30
seacalf
冒頭のシェラザードとSFを融合させたような『商人と錬金術師の門』でがっつり心をつかまれ、表題作『息吹』の驚異的な話で度胆を抜かれ、中編の『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』の長さにたじろぎつつも、『不安は自由のめまい』で気持ち良く締めくくり、たっぷり堪能させて貰った短編集。ものすごく寡作な作家さんらしいが、むべなるかな。どれもこれも奇想天外な発想、かつ美しさを感じるほど緻密な描き方。SF慣れしていないので時々睡魔が訪れ、滋味溢れるご馳走に眠気たっぷりのスパイスをかけて食べたような読書時間だった。
2020/03/02
Apple
【商人と錬金術師の門】はタイムトラベル、イスラムの教え、千夜一夜物語を合わせた絶妙なアイデアの作品でした(文末の作品ノートにそのように解説してあって凄いと思いました)。【ソフトウェア・オブジェクト〜】では、子供のように純粋なAIとのやりとりを通じて飼育員の哀愁、葛藤みたいなものが透見されていると感じました。読み応えのある中篇でした。【不安は自由のめまい】は人生における人の選択についてテーマを掲げたパラレルワールド話ですが、オチがとてもよかったです。
2021/07/14
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