三体II 黒暗森林 下
三体II 黒暗森林 下 / 感想・レビュー
青乃108号
第2部は蟻に始まり蟻に終わる。丸裸で名も知らぬ山脈地帯の山々を登る行為を想起させる本。1つ山を越えると目の前には想像を超えた眺望がありそしてまた山がありその向こうにはさらなる想像を超える眺望がある。そしてついに終末に辿り着いた者は宇宙に関するひとつの真理を手にする事が出来るがそれにいたるまでの艱難辛苦はとてつもない。ここまででまさかの第2部とは。第3部はどのようなところに連れて行かれるのかと途方に暮れる。しかしここまで来たなら少し休んで、再終末の景色を想像も出来ない結末を見届けない訳にはいかない。
2022/10/21
パトラッシュ
(上巻から)淡々と進んだ前半から一転して後半は超科学的スペースオペラと化す。暗殺ウイルスに殺されかけた次に面壁人に復帰してまた排除される羅輯を筆頭に、宇宙軍から艦ごと脱走した章北海、謎の<水滴>に文字通り瞬殺される宇宙艦隊と大量のアイデアを惜しげもなく投入してくる。思わず展開を忘れかけるほどで、説明だけで済まされているディストピアと化した大峡谷時代が舞台の外伝小説が何巻も書けそうだ。ジェットコースター的展開の果てに、羅輯は黒暗森林理論に基づき地球と三体の運命を握る。最終第三部はどうなるのか予想もつかない。
2020/07/09
absinthe
凄い!アイデア豊富な作家で最後まで飽きさせない。途中、2世紀という流れが跳ばされて駆け足過ぎたが密度は高かった。極端な悲観論、次に楽観論、それからどん底と行きつく暇もないとはこのこと。面壁者はどうなるのか?地球の未来は?連合艦隊の行方は?しかも広げすぎたかに見えた伏線はあれよあれよと回収されていく。作家なのか手品師なのか。黒暗森林の意味が分かると戦慄する。この話にもまだ続きがあるんだ…
2021/04/20
stobe1904
【三体シリーズ2作目】物語としてのスケールの大きさ、全く先の読めない展開に没頭してしまった。息を飲む三体の探査機とのコンタクトシーン、猜疑連鎖の議論や三体世界とのコミュニケーションなど動的と静的なメリハリのつけ方がとても印象的。近々最終作が出版されるようなので、また文句なしに面白い三体物語に没頭させてくれることに期待したい。★★★★★
2021/04/29
まちゃ
三部作の第二部下巻。壮大なスケールで描かれる異星文明との接触。フェルミのパラドックスの解となる「黒暗森林」理論。楽しめました。太陽系に到達した三体文明の探査機・水滴の捕獲作戦で恒星級戦艦2千隻を動員した宇宙艦隊が三体文明の圧倒的な技術力の前に壊滅させられる宇宙空間での戦闘シーンは圧巻でした。最終的には面壁者・羅輯が見出した「黒暗森林」理論により、三体文明との取引が成功し、地球は救われる。しかし、「黒暗森林」の意味する宇宙の姿には救いのないうすら寒いものを感じました。この宇宙では恐ろしいハンターに要注意。
2020/08/22
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