財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生
財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生 / 感想・レビュー
パトラッシュ
税を財源確保の手段とみなすか、インフレ率や格差是正の手段とすべきか。財政赤字は国を貧しくするか、国民を富ませるか。公的給付は持続不可能か、続ける意志さえあれば可能か。これまで当然視してきた経済を見る目の前提を、MMT(現代貨幣理論)は鮮やかに引っくり返す。確かにレーガノミクス以降の新自由主義的経済政策が国家のため国民に負担を強いるものであり、民を先に富ませれば国も富むという考えは理解できる。コロナ禍で各国ともほぼ無制限の財政支出拡大を余儀なくされている現在は、事実上MMTが実行されている状況かもしれない。
2020/12/14
belalugosi6997
「不況と貧困は人災」を主義主張にしていた、「不況・貧困・失業は人災」に追加変更。失業に関しては単なる無職を意味するのではなく、全う(真っ当)な仕事ではない=失業と定義する。では真っ当な仕事とは?ちゃんと働いて庭付きの一軒家を所有でき、結婚は勿論、2・3人の子供を大学まで通わせ、年に一度は家族で旅行に出かけ、貯蓄が出来て、老後の心配も要らないだけの手当(給与)が貰える、尊厳のある仕事のことである。完全雇用を達成すれば不思議ではない。これがMMT派の言う真なるJGPである。夢と希望と尊厳がある。ベスト著書
2021/05/04
やましん
記念すべき300冊目。中野剛志「富国と強兵」からMMTを知ってその後L・レイの本を読んだが、この本はMMTが明らかにしていることを簡潔な章立てとその解説で構成していて分かりやすい。思うに、JGP(就業保証プログラム)の課題はJGPで提供出来る有意義な仕事を政府が本当に準備できるか、にあると思う。JGPで提供される雇用は好況時に追加的な福利厚生によって民間部門に雇用が移動した場合でも行政サービスに著しい低下がなく、かつ有意義な仕事である必要がある訳だがそうした仕事が果たしてあるのか、これが課題であろう。
2022/05/02
スターライト
「国の借金が千兆円超え。国民一人当たり〇百万円」「高齢化社会の進展で医療福祉の支出が増大」などと聞くと誰しも不安を覚え、そのために増税や各種給付の減額はやむなしと思ってしまう。しかしこれはアメリカはもとより日本などの通貨発行権を持つ国では虚言にすぎず、その財政を家計や自治体と同列に扱うのは間違っているー。MMTという聞きなれない経済理論をやさしく解説した本書は、財政赤字・貿易赤字・国家の債務などにまつわる「神話」を解体し、国民全体が豊かになるための経済に向けた具体的な方策を示す画期的な経済書。
2021/02/07
ATS
私のように経済や財政などの基礎的な知識がない人がいきなり本書を読むとやや難しいかもしれない。しかしながらMMTそのものやその先にある財政政策の哲学的なことを知るには欠かせない良書であると思う。初学者はいきなり本書に手を出すのではなく、中野剛志さんの書籍『奇跡の経済教室(https://amzn.to/31okysq )』や三橋貴明さんの動画『「財政破綻するー!」を完全論破(https://www.youtube.com/watch?v=kFz1AWzwMsU&t=1282s )』で基礎を固めておくとよい。
2020/10/19
感想・レビューをもっと見る