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透明な膜を隔てながら

透明な膜を隔てながら

透明な膜を隔てながら

作家
李琴峰
出版社
早川書房
発売日
2022-08-17
ISBN
9784152101617
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透明な膜を隔てながら / 感想・レビュー

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starbro

李 琴峰、4作目です。著者の初エッセイ、ライトなエッセイではなく、芥川賞作家らしくHeavyな内容でした。著者の人となりが良く解りましたが、自身の性的嗜好(レズビアン&真正のM女)をカミングアウトしているとは思いませんでした(驚) https://www.hayakawabooks.com/n/n1bd0259c36a7 【読メエロ部】

2022/09/13

じょんじょん

素敵な装丁、そして言葉の大事さを痛感するエッセイです。言語、生、性、旅、芥川賞受賞、読書と映画いろいろな切り口でも彼女の源泉にあるものは、自由への絶対的な欲求なのですね。「言葉の壁」ではなくそこにあるのは、乗りこえることのできない「透明な膜」それは言語に限らない。あんなにも素晴らしい日本語を操る作家が未だにそのように感じているとは衝撃でした。マイノリティをくくりで考えるマジョリティになっているのではないか、と気づかされた。繊細な言葉を紡ぎながら、信念を言葉で伝え続けるという作品の裏にある決意を感じました。

2022/10/11

いちろく

著者の人生や作家業、性的嗜好をはじめ深く内面に切り込んだ自身を描いたエッセイ。日本と台湾、性別、価値観、環境など経験した様々な差異の体験を壁として隔てるのではなく、膜として捉えている状況が興味深くベージを捲っていた。高い自尊心を持つ一方で、特に作品に対しての他人からの評価を強く意識していることも分かり、著者の内面のアンバランスさが伝わる内容でもある。考え方に全て同意できるわけもなく、かと言って全てを否定するわけもない。著者と読者である私の間にも壁はないが膜はあるのだろうな、と意識せざるをえなかった。

2022/11/11

tom

著者は、あとがきに「台湾の地方出身者」「女性」「性的少数者」「外国人」「非母語話者」などのマイノリティ属性を押し付けられていると書く。彼女は、それらを「透明の膜」と語り、容易には越えられないけれど、この世界を少しでも風通しのよいものにするため、懸命に努力して風穴を開けると語る。そして言葉もそのための道具の一つだと。こういう考えで小説を書いてる人もいるのかと感じたのでした。言葉に対する感覚の鋭さは、マニアックでフェティッシュだけど、このこだわりはとても好きです。

2022/10/11

本の蟲

純文方面にはアンテナ張っていないので、名前を知ったのは「史上初。外国(台湾)籍での芥川受賞者」とネトウヨの反発含めて話題になった時。作品はどれも未読だが、やはり母語ではない(しかも中学以降に学び始めて)受賞という経歴に惹かれて手に取ったエッセイ集。まず、受賞するほどだから「言語の壁」を乗り越えているという誤解を「膜」と言う表現で否定している。外から見た日本語構造の美しさや面白さ。台湾での学生生活。進学至上主義に70年代かと思われる体罰、軍事教練等は知らなかったので興味深い。性的マイノリティであること(続

2023/04/11

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