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香水: ある人殺しの物語

香水: ある人殺しの物語

香水: ある人殺しの物語

作家
パトリック・ジュースキント
池内紀
出版社
文藝春秋
発売日
1988-12-01
ISBN
9784163106601
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香水: ある人殺しの物語 / 感想・レビュー

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sin

生き物なら当然の利己的な心情を別にして人としての感情を持たない主人公はそれゆえに無垢でかつ冷酷である。比類なき人物像、野生動物が人間の器に移し替えられたと言っても良いであろう。彼は富や権力や名声を欲する事なく、揺るぎなく“匂い”を求める。しかし、己自身が臭いを持たないというその決定的なアイデンティティの喪失に絶望し自滅する。◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/334878

2015/08/15

藤月はな(灯れ松明の火)

年の瀬に再読。視覚でも言語でも、況してや感情でもなく、刹那的で変化が激しい匂いによってのみ、世界を認識できた一人の男、グルヌイユの生涯。グルヌイユが匂いによって「木」を認識できた場面でヘレン・ケラーが触れることで「水(water)」を認識し、世界を認識する手掛かりを掴んだ逸話を思い出します。それにしても香りだけを希求するグルヌイユに対し、群がる人々の欲深さやエゴの滑稽なことよ。作り上げた香りを纏うことでしか最期まで人々の醜く、滑稽な愛の紛い物への対象にしかなれなかったグルヌイユの嘲笑は哀しい。

2015/12/26

Zann

十八世紀フランスが舞台。全てが匂いと鼻で渦巻く物語。香水が核となるも、街や人間の臭いの描写も生々しく、文章だというのになんだか酔いそう(´•ω•`;)展開も思いもかけぬもので、主人公グルヌイユから目が離せなかった(〃▽〃)感想を上手く文章にできない自分がもどかしいですが、読んだことのない話ということは間違いないです(●・・●)

2016/01/25

カムイ

西洋人は体臭がキツイので香水を発明する、嗅覚が発達したグルヌイユが主人公にしている、天才なのか悪魔なのか主人公が仕出かす殺人は風刺でもあり滑稽そして悲しみの行動だろう、何とも形容し難い物語だ読んで損はない本★5点満点

2016/10/01

ミツツ

映画を見た時はラストがどういう事かわからなかったけど、読んでみるとなるほどね、と。悪臭はなはだしき巷に生をうけ、ゴミと埃、芥にくるまれ、愛なくして育ち、人のなさけとは遠く、反感と嫌悪を糧にして成人した、グルヌイユ。彼の願いは人間のいる世界から消える事だったのだろうか。

2016/05/14

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