カフカの外套
カフカの外套 / 感想・レビュー
Roti
芥川賞作家の短編集。表題作はビロード革命にプラハで立ち会った作者とその一行の旅行記をもとにした小説。題名の通り、カフカが保険局を退社する時に事務所に置いて行った外套の行方と、グスタフ・ヤノーホの「カフカとの対話」に記載されている内容をミステリー風に仕上げている。しかしこの短編集の中での好みは「ホテル・アルカディア」。旅の記述が秀逸で、作者の文学を通して人生に求めるものを現わしている。
2015/04/17
Tonex
短編集。表題作「カフカの外套」(初出 文學界・平成三年新春特別号)のみ。取材旅行でチェコスロバキアの古都プラハを訪れた作家とカメラマンと編集者の三人組。お気楽な旅のはずがタイミング悪く共産党支配打倒を目指す革命(ビロード革命、1989年/平成元年)が勃発。はたして三人の運命はいかに、という話。/革命中なのに、カフカゆかりの場所を散策したり、怪しい男にカフカの遺品を売りつけられたり。/外套というとゴーゴリの『外套』を連想するが、ゴーゴリのパロディも少し入っている?/「カフカ、外套、ビロード革命」の三題噺?
2015/12/25
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