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石の来歴

石の来歴

石の来歴

作家
奥泉光
出版社
文藝春秋
発売日
1994-02-01
ISBN
9784163146201
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石の来歴 / 感想・レビュー

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草食系

戦争を経験し、生き残った人の持つ記憶の苦しみ、不器用な父親、あらゆる物の流れ着く先が苦しく、時にふと聞いた言葉が輝き、人生を方向づけていく。沢山の失われる命を見てきた主人公は、長い生命の歴史を抱え込んだ石に惹かれ、自らとりつかれたのかもしれない。生と死が絡まり合い、流転し、失われる命を前に立ちすくむ主人公。やり切れないながらも、大切なものが見えてくる。文章は重厚で、狂気の場面は凛と張り詰めた空気で、美しくて恐ろしい。

2013/08/28

みわーる

30年間の積読本。書棚を空けるためにブックオフへGO!と思ったが、もったいないからサヨナラの前にちょっとだけ読もうかな!と。しかし開いたページに、怒涛のように物語が展開し始め、途中でやめられなくなった。息を呑む、奥深な文章。脳内スクリーンに鮮やかに映し出される心と風景。さすがの芥川作家!と唸らざるを得ない。スマホを手に奥泉光を検索した。厳しく険しい眼をした小説家をイメージしていたが、どの写真も眼差しが穏やかで優しくて、なんだか逆にうろたえる。読了後、書棚へ本を戻した。貴重なハードカバー。絶対に手放さない。

2024/05/05

大阪のきんちゃん2

表題作は第110回芥川賞受賞作品、先に候補作となった「三つ目の鯰」を併録。 どっちもとても面白かったデス。何でだろう?とても読み易い!芥川賞作品でこんなに読み易いのは少ないんじゃないでしょうか・・・ 石の標本を求めて分け入る秩父の山々も、月山を望む庄内平野の田舎の風景も、ちゃんと目に浮かびます。 表題作は戦争の傷跡と家庭を築く者の凄絶な末路、次作は亡父の骨を墓へ納める若者が親族の信仰と血縁のしがらみをとあるエピソードを通じて考えていきます。 文章に力があって読み応えがあります。良作デス。

2020/04/15

パチーノ

『石の来歴』石の蒐集にのめり込んでしまったことが原因で家族が悲劇に見舞われる。その遠因をかつての戦争体験と結びつける。暗い深淵に引きずりこまれるような感覚にとらわれる。『三つ目の鯰』田舎での死に対する抗いようのない習俗、柵をキリスト教という宗教を絡ませて描いた作品。結局不気味な三つ目の鯰とは何だったのか。2篇とも暗い内容だが読ませる。

2016/06/13

Tonex

『石の来歴』今まで読んできた著者の作品の中で一番完成度が高い。芥川賞にふさわしい力作。 /『三つ目の鯰』この人は変化球しか投げれないのかと思っていたが、ちゃんと直球も投げれることがわかった。とはいえ、なぜナマズなのか、なぜ三つ目なのかなど、よくわからない。

2014/07/18

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