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兄弟

兄弟

兄弟

作家
なかにし礼
出版社
文藝春秋
発売日
1998-04-10
ISBN
9784163175706
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兄弟 / 感想・レビュー

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遥かなる想い

昭和を破滅的に生きた兄と その兄に翻弄された弟の物語である。ドラマでは 兄を ビート武が 弟が豊川悦二が演じた記憶がある。特攻隊の生き残りと称する兄の生き方は 破天荒で凄まじい。あの森田童子が 実はこの兄の次女だったことが 後日 明らかにされたが、改めて読むと感慨深い。 売れっ子作詞家とその兄の壮絶な 愛憎劇だった。

2024/02/14

優希

兄の死を喜ぶことからして衝撃です。一攫千金を求め、色々手を出す兄だからこそ、作詞家として成功しながらも借金の肩代わりを弟がしなければならないのですね。苦痛を強いられた弟の愛憎と葛藤が見事に描かれていました。

2023/07/22

山猫

稀代のお洒落作詞家の書く私小説(しかも直木賞候補作)とは如何なるものかという興味と腰巻の衝撃のコピー「兄さん、お願いだから死んでくれ」に引かれて買った。実の兄の死を願う弟、弟にこう言わしめてしまう兄。血族であるがゆえに切るに切れない縁、深まる一方の憎悪………その狭間で育まれたかけがえのない女性との恋。この一作だけで小説の世界から消えてはもったいないと心から思えた作品だった。

さんつきくん

「赤い月」の続編的な一冊。「赤い月」で壮絶な経験をした一家の戦後の暮らしが読み取れ興味深い。一家は小樽に拠点を移した。学徒出陣で陸軍にいた兄政之が無事帰還する。戦争も終わり、平穏無事な生活が戻ってきた。はずだった。兄が鰊の綱元を自宅を担保にして買い、借金。回収できず、小樽から離れる羽目に。そこから始まる政之の借金癖。一方、弟の礼三は大学を出て才能を開花させ人気の作詞家となった。ヒットを連発させる弟の名前を借りてまで、政之は借金を繰り返し、事業を失敗させる。政之の借金癖は病気である。著者の自叙伝的小説。

2018/04/12

じん

『三流シェフ』つながり。礼さんは昭和13年生まれ。兄は14歳年上。元特攻隊の『兄』は投機的事業の失敗を繰り返し、弟が莫大な借金を返済する。昭和を代表する作詞家の歌詞は、どれも記憶に残る。思えば歌詞は作詞家が創る時代であった。明治民法の家長制度の意識が色濃くでている。この80年ほどで日本人の家族観がどれだけ大きく変わったかを実感できます。※『兄さんの歌には、過去の思い出ばかりあって、将来への夢がない』p261、なんの努力も勉強もしないで、ただただ毎日を遊び暮らしている男に事業など出来るわけがなかったp285

2023/05/22

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