遊動亭円木
遊動亭円木 / 感想・レビュー
ソングライン
21世紀になろうとするの東京小松川、師匠から破門となった盲目の落語家円木が妹夫婦の経営するアパートに居候しています。同じアパートに住む密入国した陳夫婦、円木を支援する余命の少ない明楽の旦那、父の墓参りで出会った秋田美人の寧々、様々な人々の愛と生と死を軽妙な語りで紡いでいく物語、不条理な世界を野心なく、思いやりを大切に生きる円木の姿に癒されるのです。
2023/10/12
ko-sight
盲目の噺家遊動亭円木、名前の意味が何かと思っていたら、公園などにある丸太に鎖をつけ吊るし、前後に動く遊具だと知った。どうりで、気持ちは揺らぐがぶれないで人に信頼される訳だと思った。明楽さんとのやり取りもいい味で羨ましい。金魚もいいところで現れていた。
2015/06/30
散歩いぬ
連作短編ながら、後半は長編のクライマックスのように読み急いでしまった。現実と幻想が溶け合う話。死や物事の終わりが繰り返されるのにどこかふわりとした印象なのは語り口の妙味かな。自身を委ね、また頼られる人間関係は、足元やその先のどこかを照らす街灯。私も懐中電灯くらい欲しいものだ。
2011/08/28
horuso
著者の作品は比較的最近のクライムノベル?しか読んでいないので、こんなのも書けるんだとびっくりしたが、もしかしたらこちらが表芸なのかも。なぜか、情緒纏綿とか余韻嫋嫋といった四字熟語を思い出してしまうような文体と内容。神韻縹渺は褒めすぎか(笑)。夢と現実が交錯するような世界はかなり好みだが、円木の落語が神に入るさまを描いてくれたらと思ってしまう。ところで、つるつるで旦那が一八の約束を知らない演出は「夜の蝉」の円紫さんでしか知らなかったが、著者が北村薫を参考にしたのか、結構あるものなのか、どちらだろう。
2017/08/26
ともこ★
盲の落語家、遊動亭円木のうつつの中の夢のような不思議な物語。人とのつながりが濃厚。
2014/07/16
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