紙の爆弾
紙の爆弾 / 感想・レビュー
調“本”薬局問悶堂
紙の魔力と言葉の効力、絵の引力。 前回の出久根達郎、読了直後に古本屋の100円コーナーで見つけた。運命だと思った。 面白かったけど怖かった。 紙が好き。言葉が好き。絵が好き。 空から降る爆弾。鉄ではなく、火ではなく…紙。 《2020年6月 登録》 謎のリストの正体を追ううちに、戦時中に紙の爆弾と呼ばれた宣伝ビラ(伝単)と松代大本営建設の裏側に行き当たった古本屋達の運命や如何に——波瀾万丈の講談冒険小説。
2009/11/05
聖月
〇「紙の爆弾」は、戦時中"伝単"と呼ばれ、古書蒐集家の中には、この伝単を蒐集することに情熱を燃やしている人もある。もともと、伝単に書かれている内容は、敵国による戦意喪失のための文章であり、大本営にとっても、自分達が発表している内容と相違することが書かれているので好ましくない。当然、日本国民で、こんな紙を拾う者があれば官憲にとっちめられる。拾うのが駄目なので、所持したり、隠して保管するなんてことは、尚更出来ないことである。こうして、日本に撒かれた伝単は、すべて官憲によって集められ焼却されて一枚も残っていない
2001/05/22
明
戦争末期の松代大本営造営と伝単制作を背景にしたストーリーで、途中に出てくる古書店に纏わる諸々のエピソードは面白いものの、最後まで謎が解けないままの部分が多く、どうにも釈然としない読後感。名簿は偽物だったとして、本物の服田平作は何者だったのか、床代忠雄はどこへ行ったのか、手帳を狙って家探しや殺人未遂まで起こした黒幕は誰だったのか、すべて謎のまま。「戦争の歴史には未解明の闇がある」と伝えたかったのかもしれないが、小説としては中途半端に思えた。
2020/03/22
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