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シメール

シメール

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作家
服部まゆみ
出版社
文藝春秋
発売日
2000-05-01
ISBN
9784163191805
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シメール / 感想・レビュー

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さよちゃん

初読みの作家さんでした。ミステリー要素もある耽美な小説で、引き込まれて読みましたが、最後は夢でも見ていたかのように、拍子抜けしました。片桐さんが見ていた美少年も、私が見ていた美少年もまさに「幻」だったかのようです。

2019/05/21

まゆら

大学教授で画家の片桐と片桐の芸大時代の友人夫婦の息子の『翔』翔に魅せられた片桐は住む場所を失った夫婦と翔を自分の家に住まわせ、生活の面倒をみてやるが、共同生活で少しずつ家族の均衡が崩れてゆき…。 じわじわと父、母とおかしくなっていく過程が恐ろしく、美に執着する片桐が翔に自らの理想を求めて溺れてくのも厭な予感しかしません…。ギリシャ神話や『詩人とミューズの結婚』や『サモトラケのニケ』などの美術品の絢爛なアイテムが話を更に耽美に彩っています。耽美、退廃などお好きな方にはお勧め。

2014/01/27

くまちゃん

少年愛と言ってもこれは性的な物ではない気がする。生きている究極の美を翔に見ているような。でも翔からすればただの変態おやじだ。最後は悲しい結末になるが、片桐にとってこれが一番良かったんだと思う。もしこのまま二人でずっと一緒に暮らしていったとして、一生翔を女神として見られるのか。人間は一緒にいれば嫌な部分が必ず出てくるし、時が経てば醜くなる事もある。そんな翔を見ずに一生美しいままの翔を思い描いて暮らせる。

2016/06/24

優希

狂気と幻想と耽美に満ちた作品ですね。美しいものを心に標本する片桐さんの倒錯が怖いけれど純粋で美しい姿に見えるのが不思議です。皆が執着するものがあるからこそ、翔は聖になり、自分の美の世界に没頭したりして均衡を保っているのでしょう。芸術家が持つ独特の感性が求めるものの被害者は翔であり、だからこそ誰も救われなくて、翔は呪縛から逃れようとした悲劇が生まれたのです。家族を壊してまで、翔を愛し抜き、幻想の美として永遠の姿のまま焼き付けた片桐さんは幸せなのでしょうか。全体が幻のようなので、綺麗な世界観ではありますね。

2013/12/21

horuso

服部まゆみ的なものがたっぷり詰まっている上、物語上の疵が少ないので、著者の最高傑作に数えてもおかしくない。実際、相当満足したが、少しだけ物足りない。うまく言えないが耽美度が足りないという感じ。それと、もっと書き込んでくれたらと感じるところがいくつかあり、ボリュームも足りないのかも。本書は、「この闇と光」ではなく「罪深き緑の夏」を連想すべきと思う。「罪〜」のあの人も翔なのは偶然ではないだろう。「罪〜」の方が若書きのせいで色々疵があるが、耽美度においてははるかに上で、ぼくはあちらが著者の最高傑作だと思う。

2017/09/20

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