オカメインコに雨坊主
オカメインコに雨坊主 / 感想・レビュー
紫 綺
ホワイトさんおススメめ本。梨木 香歩の「家守綺譚」にも似た不思議と心安らぐ連作短編。人間味あふれ、個性豊かな登場人物の中でも、小学生のくせにおばあちゃんのようなシャベリのチサノちゃんが大のお気に入り♪
2013/06/29
pino
この町に流れる空気が好きだ。一膳飯屋を切り盛りしている若女将みたいな口ぶりの小学生のチサノ。澄んだ心を日本語で表現するノートン氏。個性的な世界を持っている登場人物たちは、ジワジワ沁み込む水のように心を潤してくれる。主人公が目撃する不思議な現象も日常に起きる生や死も、もはや当たり前のように淡々と受け取ってしまえる。町の象徴のような、大主岩も、大昔からここに生きる人々や動物を、静かに見守ってきたのだろう。ここから皆が繋がっている。引き寄せられるように手に取って読了した。見えない魂の存在が感性を静かに揺さぶる。
2012/06/12
あつひめ
懐かしい風景が広がる…そう、自分が見たこともない時代なのに懐かしく感じられる景色。それは、魂が目にした景色が広がっているように感じるからかもしれない。出会う人、出会うもの、手で触れたらぱちんと壊れてしまうシャボン玉のように透明に感じられるのは私だけだろうか。温度がある…でも透明。そんな世界に足を踏み入れた時の自分を想像しながら読んだ。大切な人と離ればなれになる時の心の揺れ…。恋しい想い。表紙の絵や挿絵が物語をより一層引き立てている。チサノさんの頑なまでの婦人ぶりが微笑ましかった。よいお嫁さんになりそうだ。
2012/02/18
miri
戦後、十五、六年ぐらい経った田舎が舞台でしょうか。大人びたというより、老成した話し方をする小学生女児とそこに住み着いた五十がらみの画家と地域の人々。あの世とこの世の交わりが生活の中で自然と受け入れられ、そのさじ加減があの世寄り。ふんわりした綿菓子の中にいるようで、私には伝えたいと思っていることがどうにも読み取ることができず。強いて言えば、幽霊、精霊、死者、虫の知らせなどが日常生活にありふれていると、このような世界観になるのかもしれない。
2024/05/31
Nak34
チサノさんのお祖母ちゃん言葉がたまらない。ランドセルとお弁当と画材と習字道具を持って、毎日、律儀に通学するチサノさんが愛くるしい。静かなリズムの個性的な会話が心地良い。「家守綺譚」が好きな方はどうぞ。なんちゃないけどね。いいよ。
2013/07/10
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