太陽待ち
太陽待ち / 感想・レビュー
しーふぉ
いくつものストーリーが交錯する。辻さんの小説はラストが弱いのが多いイメージ。
2017/03/09
星落秋風五丈原
堆積する時間を絵筆で作り上げる四郎は汚し屋と呼ばれている。 老いた巨匠映画監督・井上肇の新作「太陽待ち」では太陽に納得のいかない 監督とつきあっているスタッフとの間が行き詰まっていた。四郎は、 記録係で兄二郎の恋人智子に思いを寄せる一方で、謎の男藤沢から「二郎から預かったランドセルを渡せ」と命令される。 ピストルで撃たれて昏睡状態にある二郎の時空を彷徨う意識。 戦争の真実を撮ろうとした坂田藤五郎と主演女優フェイファンの悲劇。
2001/11/14
yoshiwoemon
ものすごい美しい装丁で、気負っているな、とおもったので、気負って買って気負って読んだ記憶。ただ、気負いすぎてて、なんだかあまりぴんと来なかったのだが、確かこの小説だったはずなのだけど、ある現地の貧しい少女が米の中に両手を突っ込んで手を温めている、という描写があって、それが印象的だったのだが、どこに書かれているか見失ってしまった。
まい
原爆、薬物、芸術…さまざまなキーワードが出てくるので一気に読むにはちょっと辛かったかな。外国の描写などは、『冷静と情熱のあいだ』を思い出した。忘れて新しい道を生きるのではなく、忘れず新しい道を生きていく登場人物たちの姿からは、すべてを抱えて生きていく強さを感じられた。恋愛でも、自分の背負った罪でも、運命でも、逃げることなく立ち向かうことが人間らしいと思った。
2012/08/26
サオリ
「海峡の光」「白仏」系のお話。 南京の赤い太陽と 広島の黒い太陽 現在、繋がらない太陽。 様々な時代に二郎は現れ、 繋いだり、対比したりと読者の脳内も忙しい。 登場人物それぞれの愛や喪失が一体となって やがて、それぞれが前に進んでいく。 太陽が、みたい。 -時間に対抗できるのは時間だけ
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