星々の舟 Voyage Through Stars
星々の舟 Voyage Through Stars / 感想・レビュー
ふじさん
水島家の父親・重之、二人の妻・晴代と志津子、息子の貢と暁、娘の沙恵と美希、孫の聡美が語り継ぐ形で、水嶋家の物語が綴られていく家族小説。夫婦の葛藤、兄と妹の叶わぬ恋、兄弟の確執等、それぞれの物語が丁寧に描かれており、中身が詰まった作品。「名の木散る」は、重之の辛く哀しい戦争体験が女性の視点で描かれていて、戦争小説を超えた内容で、これだけでも読む価値が十分にある。又、暁と沙恵と切ない触れ合いが何とも言えぬ味わいがあり、読んでいて辛かった。図書館本だが、思わぬ出会いに感謝した素晴らしい1冊だった。
2024/07/24
R
入り組んだ家系の物語だった。兄弟姉妹それぞれが、各々に対してコンプレックスではないが、誤解や情念があって、その根本の原因とも考えられる父親が、実は過去に戦争によって心を傷つけられていた、そんな舞台設定というべきか、特別な事情による縺れのようにも見えるけども、些細なところでも家族という中で、こういった行き違いや葛藤はあるんじゃないかと思えた。総じて暗い話で、読んで気が重くなってしまった。
2021/12/06
美雀(みすず)
母親違いの四人兄妹。ある事件で家族がバラバラになったが母親の死をきっかけに再生しようとしている。四人それぞれの結婚や恋愛は上手くいかなくても兄妹はきっとお互いを分かり合えると思いました。四人の父親の戦争体験が悲しいものであったけど、当時の事を忘れないでいるから家族への愛情が本当は強かったんだなぁと思いました。ただ、不器用なだけで。子供達には違って見えたんだ。
2017/01/11
ちゃんみー
こんなに大きな宇宙の中で、たった一家族の出来事はちっぽけなものかもしれないが、その一家族の中ではとても大きな意味を持っている。最後の章(重之の章)が物語全体をうまく引き締めているような感じがします。重之のような年齢になった時に私は何か振り返ることがあるのでしょうか?
2016/01/09
taiko
縁あって同じ舟に乗り合わせた家族の物語。各章ごとに主人公が代わり、それぞれが深い闇を持つに至る話が綴られています。血の繋がりを知らず、同じ舟に乗り合わせてしまったが故に、気持ちを通わせることを許されなかった兄妹の話は切ない。最後の、この家族の中で誰をも押さえ付けていた父の戦争の話には、考えさせられるものがあった。家族に対して父にどうしてもそうせざるを得なくさせた彼の体験、その恐ろしさ、それはやはり誰もが知っていなければならないことなのだと思う。どの話も、それぞれの→続く
2017/02/21
感想・レビューをもっと見る