どこにでもある場所とどこにもいない私
どこにでもある場所とどこにもいない私 / 感想・レビュー
うののささら
2003年か。懐かしいな。2000年ごろ大学を卒業した人たちは、ついてなかったですまないだろな。今と違って受験生が多かったなか努力して大学入ったのに就職無くてブラックな会社で理不尽な思いをして気の毒。龍先生がバブルが終わっても高いワインをバカな女と六本木で飲み歩いたり、中田英が自分探しの旅とか言って若者を扇動したりやれやれだったな。この本は面白かった。自分はふとしたきっかけで過去がよみがえるのは本を読んでる時。閉塞感が強まる日本社会で海外に行くことが唯一の希望は人たち。思い切って行った人は成功かな。
2021/09/23
🤍
タイトルに惹かれて読んだ。情景描写がすごく細かくて少しくどい気もしたけど、1人で電車に乗っていてぼんやり人間観察している時のあの感じに近くて面白かった。息抜きに読みたくなる短編。
2020/11/02
キク
タイトルが秀逸だと思う。深く考えると、このタイトルって、全ての場所の全ての人に当てはまるんじゃないだろうか。龍はその人々の希望として、海外への留学を書いている(留学情報誌への連載だかもある)けど、共同幻想としての希望ってもう存在できなくて、個人的な希望を自分自身で掴み取ることしかないのかもしれない。
2020/10/23
ja^2
建築家の内藤廣氏はかつて東大で「東京のインフラストラクチャー」という講義をしていた頃、この本のタイトルのレポートを課題として出したという。▼特にこの本に出てくるような消費空間は世界中どこに行っても本当に均質化が進んでいる。先日も某私鉄ターミナルで開業した駅ビルの開発に深く関わった身としては些か不謹慎な発言ではあるが…。▼問題は「どこにいない私」とはどういうことか。その均質化した空間で埋没する個人をいうのか、それとも他の誰とも違う特別な自分が際立つことをいうのか。この本の答えは前者であり、後者でありだった。
2018/03/03
彩
村上龍読後、必ずしばらくは、脳内で、村上龍の小説の主人公のような語りをしちゃうのだが、結構お気に入りの感覚。 私たちは目の前の現実を生きていても、実は心ここに在らずで、何か過去を思い出していることがある。それをそのまま言語化しているというのがなかなか新鮮だ。人の無意識の言語化。 あとがきを読むまで、海外へ留学することを唯一の希望としている人々の物語だと全く気がつかなかったが、やはり社会の絶望や頽廃ばかりが書かれているようなものは初めから読みたくなく、希望になるものを見つけたいなと思って私も読書をしている。
2019/08/26
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