真空管
真空管 / 感想・レビュー
スパイク
まるで風景を描写するように洋服や高級腕時計のブランド名が羅列される。食事は流行りのレストラン、ワインやシャンパーニュ(シャンペンではない)だって名前つき。田中康夫の『なんクリ』を思わせる。そのなかで繰り返されるのは中年男との熟れて腐ったようなセックス。まったくくだらないお話しなんであるが、くだらないと思いながらも最後まで読んでしまうのは、そういうくだらないもの(記号)にあこがれたり、どこか(性欲)にシンパシーを感じたりしている自分がいるからなんでしょうか。
2014/12/17
星落秋風五丈原
著者の甘糟さんは、ファッションやクルマ、グルメ・スポットの紹介で定評のある人気コラムニスト。初の長篇小説。モーター・ジャーナリストの有里は友人から紹介されたモデル事務所の社長・横溝に惹かれていく。横溝には、欲しいものがなくなってしまった者の哀れさがあった。横溝の変態的な要求に応えて次々と違う男と躯を重ねる有里の行き着く先は。先端風俗を活写し、セックスが重みを失い迷走する恋愛を描いた快作。愛する男の屈折した要求に応えるため、身近な男たちと次々に肉体を重ねる。リアルな感覚を喪った愛を抱えて迷走する魂を描く。
2006/03/24
かおるん
タイトルに惹かれて。真っ黒な表紙にくらくら。図書館で半分ほど読んで、閉館時間なので思わずさらってきました(笑)どことなく石田衣良さんの温度のない淡々とした調子とブランド名などを克明にしるす感じが似てた気が。お洒落でしたね。一人のオトコに尽くすために他のオトコと寝る。全くわからないわけではない感情だったのですいすい読めたかな。自分が20後半や30台になった時こういう気持ちを抱けたらそれはそれで素敵かもしれない。
2010/09/15
ユウユウ
内容の薄さのわりに繰り返されるブランドやらショップやらの詳細な描写に執拗さを感じてしまった。
あかりんりん
甘糟さんの描く人物はいつも、ひとクセあってオシャレ、でも満たされない。。好きな人に振り向いてほしくて他の男性とのハレンチな情事を繰り返す主人公。本末転倒かなって思う読者半分(20代前半まで?)と、理解できると思う読者半分(30代以降?)に分かれそうだなーと感じました。ちなみに私個人的には後者かな。
2012/01/17
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