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文藝春秋 コーネルの箱

文藝春秋 コーネルの箱

文藝春秋 コーネルの箱

作家
チャールズ シミック
柴田元幸
出版社
文藝春秋
発売日
2003-12-05
ISBN
9784163224206
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文藝春秋 コーネルの箱 / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

小川洋子さんの「ことり」がコーネルにインスピレーションを受けたものと聴いて。 さもありなん、圧倒的な静謐。美しくてさびしげ。箱の中につくりだされた世界は、隔離され完成されていて、少しこわくて悲しい。 一例「クレオ・ド・メロード嬢のエジプト 博物史入門」に収められたもの。人形の前腕、赤い砂/スフィンクス頭部の切り抜き/真珠のビーズ六個、乾いた緑の液体が残っている緑の管等々。なんていう物語性。閉じられた箱の中で、世界は無限に広がっていく。コーネルの作品に添えられたシミックの言葉もすべて心の引き出しに収めたい。

2019/07/14

アン

ニューヨークの街で見つけた写真、人形、壜、ビーズ等の小物を組み合わせ、木箱に収めて「小さな宇宙」をつくり出したコーネル。その独創性に溢れる神秘的な作品ごとに、シミックの美しい散文が添えられ、私達を想像の世界へ誘ってくれます。「タリオーニの宝石箱」を眺めていると、子供の頃、ガラスのおはじきや海岸で拾った綺麗な貝殻を小箱に秘密のように大切に閉まっていた事を思い出しました。コーネルの箱では時間が留まり、吸い込まれそうで、魔法にかけられたような気分に。カラーの図版が掲載された素敵な一冊。

2019/12/03

アキ

箱の芸術家コーネルの作品を初めて見たのはDIC川村記念美術館でした。こじんまりした箱の中にオマージュのような写真や雑貨、ミニチュアの模型などが収められていた。この本は、コーネルの箱の写真と詩人チャールズ・シミックの短文を併せて編集している。Iメディチ・スロットマシーンII小さな箱III空想のホテルの3部構成。小川洋子の小説に相性がよさそうな箱の宇宙と詩がマッチして、箱の中では思いがけない世界の断片たちが共存するコラージュの世界。柴田元幸の訳文。「世界は美しいが世界を言葉にはできない。だから芸術が要るのだ」

2019/12/18

mii22.

『あとは切手を、一枚貼るだけ』の関連本。コーネルの作り出す世界は閉じられた箱の中にあっても、そこから想像する物語はどこまでもひろがっていく。箱の中にある小宇宙からインスピレーションを得て、詩人は詩をよみ、小説家はお話しを書き、私たちは想像する。美しくもあり、怖くもあり、悲しくもある静謐な世界。コーネルの箱の秘密をもっと知りたくなった。

2019/09/11

天の川

コツコツと集めた古くて美しくて雑多な品々。コーネルはそれらを組み合わせて箱の中に新しい世界を創る。それは密やかな空間。美しく、寂しく…見ていて怖くなってくるのは、孤独な魂が創り上げたその空間が蠱惑的で、溺れてしまって、出て来られなくなるような気持ちにさせられるからかもしれない。小枝の森に埋もれたアンティークドールのように。シミックの文章がさらに深くコーネルの世界に誘ってくれる。美しい本だった。

2020/02/13

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